dreamD

□ポスト♡イット
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「中岡さんて…なんていうか、実家の犬に似てるんですよね。」

…何度目やろ。

犬に似てるって言われたの。

「知らん、褒め言葉とちゃうの?」

コカドくんに言ったら、適当に返された。

「可愛いってことですやん。僕なんか、似てるもんといえば妖怪とかですもん。」

フットの岩尾くんに言ったら、へこませてしまった。

「どっちにしろフラれたってことやろ。気にすんなや!」

フットの後藤さんに言ったら、励まされたけど逆にへこんだ。




「…僕ってそんなに犬に似てますかね。」

ちょうど楽屋に居たスタッフの女の子に聞いたら、びっくりした顔で見られた。

「似てませんよ!」
「え、ほんまですか?」
「ええ。絶対、似てません!」
「断言しましたね。」
「ええ!大丈夫ですよ!中岡さんは犬にも猫にも似てません!中岡さんは、中岡さんはですし!」

今度は俺が彼女を見つめてしまった。
彼女は大きな声を出したことに、恥ずかしくなったのか、照れ笑いした。

「あはは。すみません。ちょっと、興奮して。」
「あ…いや。嬉しかったです。」

俺も急に照れてしまって、微妙な空気になってしまった。
ちょうど「リハでーす!」とADさんがやってきたので、俺はほっとして彼女にぺこっとお辞儀をして楽屋を出た。

なんや可愛い子やったな。

セットにあがるとき、ふと思った。





撮影が終わって楽屋に帰ると、鏡にポスト・イットが貼ってあった。

「なんや、これ。」

コカドくんが見つけて、剥がす。
そのまま、書いてある文字を読み上げる。

「中岡さんは、強いて言うならワイルドでセクシーな、タイガーです。」

「え?なに?」

「…中岡がぁ?タイガーやとぉ?ありえへんし。ていうか、これ誰が貼ったん?」

「さぁ…」

俺はきっとあの子からだと思ったけど、曖昧に笑って首をかしげておいた。

コカドくんは不思議そうな顔してもう一度ポストイットを見つめる。

それから「まぁええけど」と呟いて、そのポスト・イットを俺の額にぺたりと貼る。

「この子お前に惚れてるんちゃう?」





…え。

…まじ?

俺は慌ててそれを額から剥がす。

さっきのあの子の顔を思い出す。

可愛い子やった。

でも一度しか見てないから、なんだかもうあやふやで…。

「うーん…???」

俺はポスト・イット片手にうなってしまった。

俺がほんまにワイルドでセクシーなタイガーなら。

彼女を探して恋に落ちることができるはずなんやけど…。



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