dreamD

□揺れる
1ページ/1ページ




携帯がなってる。

「とったら?」

って村上くんが言う。



「うん」



って私は頷いて震える携帯を手に取る。



でも。

どうしても。

通話ボタンを押すことが、できない。




「どうしたの?」

村上くんが言う。

不思議そうな顔で。

私をまっすぐに見つめる。





彼はきっと知っている。





私と…





池田くんのこと。









「とりなよ。」


穏やかな口調の。

その一言が私の胸につきささる。




村上くんの瞳の中でなにかが揺らいでる。



ー僕じゃなくて、池田のとこ、行きなよ。

ーでも君は行かないよ、君は僕のものだから。



ふたつのセリフが重なって聞こえる。




そうしたいのか。

そうしたくないのか。





わからなくて私は。

震える携帯をなだめるように、手の中でぎゅっと握り締める…。







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ