最高の夢をもう一度
□赤い月
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'月は黄色いものだ。赤い月などない'
と誰かに教えられた記憶はない。
しかし、私達は自然と
'月は黄色いものだ。赤い月などない'
と知っている。
…いや、思っている。
それは
'黄色'
という色を教えられ、
'月'
というものを教えられ、月を見上げると黄色だったからだ。
この目で得た情報だから疑わない。
しかし、この世には新月がある。
月が見えず、真っ黒になる。
数学では、一つでも例外があると正しいとは言えない。
だから、必ずしも月が黄色いとは言えない。
新月という黒い月があるなら、赤い月だってあるはずだ。
…と私は思う。
無論、ここまで私が月にこだわるのには理由がある。
私は赤く染まった月をみたことがある。
しかし、他人は見たことがないから私を嘘つきだと言う。
だから、私は赤い月を見せることにする。
私は科学者ではない。
しかし、赤い月を必ず…。