朧月夜。の置き場
□10.
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カーテンの隙間から朝の光が入ってくる。
もう朝だと知らせてくれるその光を鬱陶しいと感じながら、まだ眠くて重たい瞼を少しずつ開ける。
あぁ、いつの間にか眠っていたのか・・・。と、
寝れない寝れないともがいていた長い夜はいつの間にか終わっていた。
「〜〜〜ふぁ〜っ、と」
寝不足の気だるさの残る身体を無理矢理起こして、両手を上げて精一杯背伸びをする。
特に目覚ましも掛けずに寝たので、今が何時なのかも分からない。
手元近くに置いてある筈の携帯を手探りで探して、画面を見る。
「あぁ、なんだ。まだこんな時間か。」
まだ早朝の6時過ぎ。
特に朝からの仕事でもない日はまだ寝ている時間帯だ。
夜中の結構な時間まで起きていたので、まだまだ眠たい。
このままもう一度寝てしまおうかと思ったが、少し喉が渇いてるので、何か飲んでからまた寝ようと、部屋を出てキッチンに向かう。
リビングの扉を開くと、奥からガサガサと物音がする。
「大気がもう起きてんのか・・・?」
いつも自分たちの食事を用意してくれるので、もう準備を始めているのかと思っていたが、予想とは違う人物が、自分たちの朝食を用意してくれていた。
「ーーーえ?」
「・・・っ、あ、お、おはようございます。」
そこに居たのは、大気がいつも使っているエプロン(ダサイ)を身にまとった、未来のおだんごだった。
間抜けな声を出す俺に、
恥ずかしそうに挨拶をするおだんご。
化粧を落とした姿は昨夜も見ていたが、
スッピンでおだんごを結い、昨日一緒に購入した、この時代の服を着ている姿は、現代の彼女ともあまり変わりは無いように見えた。
身に纏う雰囲気も、昨日は厳かな雰囲気が漂っていたが、今日は何だか柔らかいように感じた。
「あ、おはよう。早ーんだな。」
挨拶を交わしながら、慣れないキッチンに戸惑いながら料理をするおだんごを、上から下から凝視する。
「ええ、よく眠れましたか?昨日はありがとうございます。
勝手に使ってしまってすみません。ささやかですが、朝食をと思いまして・・・。」
微笑みながらそういう彼女には、大人ならではの色気も感じる。
早朝に、俺の家で、エプロンして(大気のだからダサイけど)、あたふたしながら料理してくれてる、
新婚さんみたいだな、と何だか分からないが照れてしまう。
とゆーか、普通に可愛い。いいな、エプロン姿って。
しつこいが大気のだからダサいんだけどさ。
おだんごマジックでいつもダサイダサイと思ってたそのエプロンも可愛くみえるぜ。
俺がじーっとおだんごを見ながら固まっていると、不安そうに「大丈夫ですか?」と聞いてくるおだんごもまた可愛いなと見続けてしまった。
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