朧月夜。の置き場
□11.
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きゃっ、きゃっ、と騒ぐ彼女たち。
俺はふと時計を見て、今日の予定を思い出す。
スケジュール通りこなすなら、もう、そろそろ家を出なければならない。
厳しい世界で有り難くも仕事を貰っている以上、自分の都合でドタキャン、というのはしにくい。
が、正直、こんな状況で仕事には行きづらいし、心配だ。
うーん……、どうしたものか・・・。
俺がソワソワしている事に気付いた大気、
はぁ、とため息を突いてくる。
「星野、夜天も。
私たち皆の今日、明日のスケジュールはキャンセルさせて貰っていますよ。」
「え、まじ?いいのか?」
「ま、そうなるよね。」
驚く俺と、当然だ、と言わんばかりの夜天。
「この場合は致し方がないでしょう。その代わり、後日に回せる分の仕事は先送りにしていただいたので、当分忙しいですよ。」
分刻み、という程は忙しくないが、それなりに毎日忙しいのに、
そうか、更に追加されたか……。
あのぎちぎちのスケジュールのどこにそんな隙間があったのだろうか。
トホホ、と肩を落とす俺と夜天に、おだんごは自分が来たせいでーーー、と申し訳なさそうにしていて、
慌てて「大丈夫だから!」とおだんごの肩を叩いて言う。
「そうです、自分たちで大丈夫と判断してキャンセルしたんですから。
月野さんが気になさる事はありませんよ。」
「そーそー、いっその事、星野が悪いって事でいいんじゃん。」
「いや、何でだよ。」
俺達のやりとりに、おだんごは耐えきれずぷっと吹き出して笑う。
「……ありがとうございます。」
「って事で!皆時間があるのよね!?」
おだんごの横に座っていた愛野がにゅっと表れて、パン!と手を叩く。
目線で遊ぼーー!とビームが送れるんじゃないかと思うくらい、キラキラした目線を送ってくる。
「そ、そうだな…。なぁ、大気!」
怖じ気づいてしまった俺は、返事に困って大気に任せようとする。
「え?えぇ。何がしたいですか?夜天?」
急に振られた大気は、そのままパスとばかりに夜天にふる。
「え、僕ぅ?昨日みたいに家にいればいいじゃんか。出るの面倒くさいし。」
夜天の提案に、皆で「えーーーーっ」と不満そうな声をあげる。
「でも、実際。俺達がまとまってウロウロしてると目立つぞ?」
俺もその方が良いんじゃねーかと、夜天の提案に乗っかる。
が、次々に不満そうな声を上げられた。
「まあ…、そりゃあそうですけど・・・。」
「折角の滅多に無い機会なのにな〜。」
火野と愛野はあからさまに嫌そう。
大人しめの水野と木野は顔で不満そうな表現をしてくるが、仕方ないのかなーという感じ。
「クイーンはなにかなさりたいことはありますか?」
「そうだよ、折角の機会なんですから。遠慮せずに行ってみてください。」
おだんごの意見も聞いてみよう、水野と木野は話し掛けるが、おだんごはえーっと、と困った感じ。
実は何かしたいこと、して欲しいことでもあったのか?
「おだんご、遠慮すんなって。言ってみ?」
俺がそう言うと、おだんごはおずおずと話し出す。
「あの……、スリーライツの皆様にお願いがあります・・・。」
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