朧月夜。の置き場


□08.
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まったりと時間を過ごしていた皆だったが、
時は自然と流れ行くもので、
気が付けば、夜と夜中の境目位の時間になってしまっていた。



「あ、もうこんな時間か……。」


誰かが言ったその言葉に、時計を確認すれば、
高校生にしては少し遅い帰宅になる時間。


門限など特にない彼女たちだが、
それでもある程度の節度を持って行動する。




「そろそろおいとましましょうか。」


亜美の言ったその言葉で、各々帰り支度を始めた。



「遅くまで申し訳ありません。」

時間を気にしていなかったのだろうクイーンが、
帰り支度をする彼女たちに申し訳なさそうに言う。



「そんな、気になさらないで下さい。
私たちが好きで居たんですから。」


美奈子が陽気にそう言えば、他の者も大丈夫だ、と伝える。





「じゃあ、時間も遅いですし、
私は皆さんを車でお送りしてきますね。」


「ああ、頼んだ。」



「僕も行くよ。四人いっぺんになんて、余計時間掛かるし、
二手に別れて送ろう。」




そう言って、大気と夜天も外に出る用意をして、
軽く挨拶を済ませて出ていこうとする彼女たちに付いていく。


「っ、おい!大気はいつも通りだけど、夜天は何か企んでねーか?」


面倒臭がりな夜天が自ら送ろうとするなんて…、
と星野は余計な気を使っているのではと問い質したが、


「今日は特に遅くなったからだろ?
それに、一応自分の彼女も居るからね。」


とひょろりと抜けられ、
そのまま特に言葉を交わすことなく、
さっさと出ていってしまった。




「・・・・ぜってー変な気を遣ってやがる……。」


星野は長年共に居た勘でそう感じてはいるが、
その行動自体には心では感謝してしまっている為、
それ以上は何も言えずに逃してしまった。




「星野・・・?」


二人っきりになってしまった、と変に意識して固まってしまった星野に、
クイーンは少し心配になって呼び掛ける。



昔の私は好きでも、今の私と一緒はやっぱり気まずいんじゃあ……。


星野の挙動不審な態度に、クイーンも在らぬ不安が過ってしまう。




結局お互いぎくしゃくしたままとなり、
特に会話をするでもなく、大気や夜天が帰ってくるまで
固まったままソファに座っていただけだった。






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