朧月夜。の置き場


□09.
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星野の部屋に着いて、フローリングの床には座らせなれないと、
ベットへ座る様に案内する星野。


一度はいいと断ったクイーンだが、
星野に強引に座らされてしまった。





「…………。」


「…………。」


星野は机の椅子に座り、
クイーンとは向かい合う形になっている。


お互い定位置を作り、腰掛けたはいいが、
どう話を切り出したらいいのか分からず、
無言のままになってしまっている。




クイーンは何か言わなくては……!と焦るが
焦れば焦る程、言葉が出てこなくなってしまった。



いつもの自分ならば冷静に対処出来るというのに、
クイーンは、こちらに来てから、全く自分らしくいれない事にも焦ってしまっていた。




星野はといえば、クイーンから聞かされる話が何なのか、
分からない故の妙な焦りを感じてしまっていた。



「………あ、あのさ……っ、」


「…………あ、えっと……っ」


二人同時に話出し、
またも少し沈黙する。


「……えーっと、どうぞ?」


「いや、話ってなにかなあって聞こうとしただけだからっ、
気にしないでくれ……!」






「―――――何をしているんだか……。」


「……ほんとだよ、もっとはきはきうっといしいいつも通りにすればいいのに!
星野のやつ、情けないなー。」


星野の部屋のドアの隙間から、
こっそりと覗く大気と夜天。



もじもじとする二人、というか星野に、
少しやきもきとした苛立ちを感じてしまっているらしい。



二人仲睦まじそうにクイーンの髪を乾かすのを目撃し、
そっとしとおこうとすれば、星野の部屋に入っていったので、
流石に深夜に、昔は惚れ合っていた男女が密室に居るのはまずいのでは……!?



と星野が間違いを犯すことはないと信じながらも
心配な気持ちが半分、好奇心が半分で、


覗きに行くことにした。


と、いうのが言い訳らしい。




星野は一応気にしていたらしく、
ドアを締め切らずに少し開けていたので、
その隙間からこっそりと覗き見をする。





「何を話してるんだろう…?
もうちょっと大きい声で話してくれないかなあ?」


「し……!夜天、声が大きいですよ。見つかってしまいます。」





「―――――もう見つかってるっつの!
出刃亀してないで寝ろって!
俺たちも少し話したらすぐに寝るからっ!」



星野がドアの方を見ながらそう叫ぶ。



「………ちぇ、おいたしたらだめだからね、星野ぁ。」


「失礼しました。おやすみなさい。」



見つかってしまえば仕方ない、と大人しく引き下がる二人。



「……ったく。」


二人が行ってしまったのを確認してから、
星野は今度はきちんと扉を締め切って、クイーンの元へと戻った。



「わりぃ、あの二人が……。」


「……いいえ、何もないだろうと思っていても、深夜に二人で居させるのは心配なのですよ。」


二人の行動が微笑ましいらしいクイーンは、
優しく笑いながらそう言った。


星野も釣られて笑いながら、

大人びて微笑む彼女の姿を見たときに、
少しだけ、寂しい気がしてしまっていた……。





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