朧月夜。の置き場


□04.
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「えっと、星野……っ、ですよね・・・?」





クイーンが、おずおずと、
喋りもせずに黙ったままの星野に向かって話し掛ける。





言葉こそ辿々しいものの、
彼女の身体が感激で震えているのが分かる。







星野だ・・・・・




あんなに焦がれて、

あんなに彼を想って泣いた………




その‘カレ’が、

今、目の前に……居る・・・。







「…………せい、や・・・。
うさぎだよ、ううん、おだんご…だよ・・・

30世紀の……未来のあたしだよ…。」





クイーンは、涙を我慢することなく、
ぼろぼろと、子供の様に泣き出した。



星野は、黙ったまま、
困惑している様だったが、
クイーンの台詞に、止まった時が動き出す。






「・・・・みら、いの…おだんご・・・?」




「そうだ。
この方は、ネオ・クイーン・セレニティ。
未来の地球の救世主で、女王陛下だ。」



「最も、今より1000年以上の未来で、だけどね。」





困惑している星野に、
補足という風に、言葉を繋げていく、はるかとみちる。




一千年という言葉を聞いて、
星野の顔に、益々困惑の色がのる。






「1000年って・・・、どうやって生きて……、
つーか・・・・おだんごが…、地球の女王…?」





星野は疑問しか出てこないこの一連の会話に、

夏の暑さも加わって、
オーバーヒート寸前だった。



なんとか内容を理解しようにも、
根本からが意味の分からない事だらけである。


理解したくても、整理出来る要素が少ない。





「・・・クイーン、積もる話や事情は後程ゆっくり。
人が集まって来ましたので、
取り敢えず、何処かに移動しないと……。」



空間を見兼ねたせつなが、
見世物になっている状況も考えて、口を挟む。





はっ、と

皆は周りに意識する。





住宅街のど真ん中で、

派手な集団が騒いでいれば、
そりゃ人が野次馬になるのもわかる訳で……




状況を理解した面々は、兎に角移動しよう、と
立ち退く合図をする。




「……おい、
どこかこの人数と面子でも、
落ち着いて話せる場所はあるか……?」




はるかが、車に乗ろうとしていた星野に、
ぼそっと相談を持ち掛けた。




みちるやせつな達はもう車に乗り込んでいる。






「…なら、俺の家に行こうぜ。
あいつの仲間も俺の仲間も集まってるし・・・
一気に話が通りそうだ。」




星野の家、
といわれ、少し考えるはるかだったが、

状況や事情を考えて、あまり間を空けず、
了承の合図をする。




「……言っとくけど、
俺だって嫌なんだからな・・・。」


はるかの態度を見て、
自分だって嫌だということを宣言する星野。




仕方ない、と自分に言い聞かせながら、

はるかに、
道案内をするから、後に付いてこい、とだけ言い、
車に乗り込んだ。







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