朧月夜。の置き場


□06.
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星野の想いとは裏腹に、
クイーンの滞在の段取りが進んでいく。



そんな中、1人状況を掴めず、クイーンはおたおたと周りを見ていた。





星野も、反対だと態度を示しながら、

内心の気持ちと戦っていた。



「私は、別にホテルでも……、
あ、でもこの時代のお金を持っていない……!」



「ご自身の寝泊まり金銭の心配など、
一国の女王がするものではありませんわ。
あとはあたくし達にお任せ下さい。」


せつながご教授加えつつ、
慌てるクイーンを宥める。





「でも……、」




「心苦しい様でしたら、
未来の私達に特別ボーナスでも、あげて下さいな。」


みちるが申し訳なさそうに項垂れるクイーンに、
茶目っ気に言う。




そんな皆の様子から、
クイーンはここで申し訳ないと断ったり、落ち込めば、
逆に迷惑が掛かるのだと理解し、
言われた通りにしようと、
こちらも茶目っ気を踏まえながら明るく答えた。




「ええ…!たっぷりと差し上げなければねっ」


明るく言うクイーンに、皆もほっとしたような面持ちで
会話の内容に笑っていた。



此方に来て、初めての穏やかな時かもしれないと、

クイーンもまた微笑んだ。







「では、私達はこの辺で。
連絡先を渡しておきます。
何かありましたら、こちらに連絡をして下さいませ。
またお帰りの際には駆け付けますので…、
それまで、こちらの世界を満喫下さい。では…。」



みちるの言葉に、
はるかやせつなが寝ていたほたるを起こし、
帰り支度を始める。



「え?帰ってしまうのですか…?」


少し不安そうに言うクイーン。


「…はい、居てもお役に立ちそうもないので。
何かご用が御座いましたら、すぐにでも駆け付けますから。」


微笑を浮かべながら、みちるはさっさと自身の帰り支度を済ます。





「クイーン、御無事で!
いつでもお呼び下さい。すぐにお側に向かいますから!
…それでは、失礼します。」


「失礼します。」

「さようなら、クイーン。
また3日後にお会いしましょう。」




「え、ええ。皆さん、また…。」



はるかが未練がましく言いながら、
さっさと帰っていくみちるの後を追う。


せつなとほたるもクイーンへの挨拶をしながら、
それに続いた。




はるか達の帰った室内は、
しんとした空気に包まれた。






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