本編

□序章
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夜、

月明かりが街を照らし、

人工光が無くなった静かな暗闇の中、
火の文字が大々しく描かれてる建物の中で、


一人の老人と、一人の幼子が居た。






老人は椅子に腰掛け、
前にある机に肘を付き、

何かを考えている風である。






「何だよ、こんな急に呼び出したりして。」



その向かい合った幼子ことナルトの、

あたかも不機嫌な話し方に、
些か戸惑う三代目。





はぁ、
と溜め息を尽くナルト。


その音に反応した三代目が、
閉じていた口をやっと開いた。




「あ、いや、すまんな。
任務を終えたばかりで疲れておるところ…」



「まったくだ。」



間髪を入れず不満を垂らすナルトに、

今度は三代目が溜め息を尽く。






「…何だ?
何か問題でも遇ったのか?」




さすがに
この三代目の異変に気が付いたナルトが、

杞憂を走らせる。





「いや…ただ…」



どうにも煮え切らない三代目の態度に、


短気の代名詞のように、
ナルトが怒鳴りつける。






「何なんださっきから!!
用が有るなら手短にさっさと言いやがれっ

こっちは任務から帰ってきたばっかで疲れてる処を、
テメーの為にっ!

わざわざ睡眠時間削ってまで来てやってんだぞ!?

もう少し健康的な生活を出来んのかって
いつも怒ってたのはじじいじゃねぇか!」





任務での疲れと、
日頃からの睡眠不足のせいで、

疲労しきっているナルトは、


夜中だという事も、

人目を憚る密会の最中であるにも忘れ、
威勢よく、目の前で憔悴しているお爺さんを怒鳴り散らす。







「す、すまぬ。


…………実わな、

 お主にアカデミーに入ってもらいたいんじゃよ。」





三代目は重いその口から、
ナルトにとってあり得ないと思うような事を

口にした。






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