番外編

□師匠、兄、仲間、…大切な人。
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イタ兄が、突然皆を呼び集めた。



じじいもアスマも紅も、
勿論俺たち特暗の面々も、


全員が集められ、
夜の火影執務室で静かにイタ兄が来るのを待つ。




「遅くなりました。」



そう言って、窓から音も立てずに入ってくる、
イタ兄と鬼鮫。


鬼鮫は、自分は付き添いですから。と窓の縁に腰掛け、

関係ないという風に、イタ兄が話し出すのを待っていた。





「お忙しい中、集まって貰って申し訳ない。
・・・実は、皆に話と頼みがある。」




イタ兄の頼みという言葉に、
皆が不思議がる。

室内が、少しざわめき立った。




「・・・イタチ……?」


私ですら聞いていないと、
不安そうな声でイタ兄の傍に行くサクラ。




そんなサクラを落ち着かせる様に、
イタ兄は軽くサクラの髪を撫でた。





「・・・まず、話というのは、俺の寿命の事だ。

綱手様に診て頂いんだ。」





「………じゅ、寿命・・・?」


イタ兄のすぐ傍にいたサクラが、
瞳を大きく開き、聞き返す。


サクラの言葉に、
コクンと頷きながら、イタ兄は話を続けた。



「まだきちんとした治療法も薬もなく、
そうしている内に、やがては体中が侵され、

そして・・・・死んでしまう、
……不治の病だそうです…。」





イタ兄の言葉に、全員が聞き違いであることを願い、

――――顔を蒼くした。




サクラは倒れそうになりながら、
声にならない叫びをあげ、

・・・・むせび泣く。



そんなサクラを、
イタ兄は支えながら抱き締めた。





―――信じられない、
いや、…信じたくない。




ここに居る誰もがそう思った。
あまりの事に、本当かと聞き返す事も、
誰一人出来やしなかった。








ホント、訳が分からないぜ。

どういうことだよ?


不治の病?

――――――死ぬ?



イタ兄が・・・・・?



有り得ない、有り得ないでくれ。



絶対に嫌だ。




「…本当に、確かなのか・・・?
綱手はなんと……、」



信じられない。そう、じじいも言いたげに、
イタ兄に聞き返した。




「……確かです。
もう、なにがあっても治らないと・・・。

薬で幾らか進行を緩める事は出来ますが、


それでも完全ではないので、
苦しみを永くするかしないかの問題だろうと。

感染症ではないようなので、
そこだけは安心しました。


―――もう、
何もしなくて3年……、

薬で延ばしても、
・・・・5年が限界だろうと言われました。」





絶望だった。

考えたくもない未来が、
ほんの少し先に広がっているのだと。


確かにそう言われた気がした。




「・・・絶対に無理なんですか…?
他に方法は…っ!?」



「…そ、そうよっ!
医学は進歩してるもの、綱手様の知らない治療法だって……っ」




チョウジといのが、無駄だと知りながら反論した。




「・・・・無理なんだよ…。
もう散々足掻いたさ。

・・・結果は変わらなかった。」




虚しく、優しい言葉で言うイタ兄。





――――皆が泣いた。

感情を普段から表に出さない、
シノやネジまで、臆せもせずに泣いた。





イタ兄はその光景に、

自分は幸せだなと、この時強く感じたと、
後に微笑みながら語っていた。







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