朧月夜。の置き場


□04.
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星野とはるかのやり取りを見ながら、
ぼーっと突っ立ったままのクイーン。





話が読めずに困惑している様は、
16歳だったころと、あまり変わらない。





星野は、そんなクイーンを見ながら、
その美しさに、顔を染める。




声を掛けたいのに、言葉が喉を通らない……。






「未来…?のおだんご!
移動するから、こっちの車乗れっ」



クイっと、自分の車を指す。

助手席が入りやすすい様に車を移動させ、
ドアを開けてあげた。





クイーンは、
慣れた動作で、その行動に便乗し、
車に乗り込んだ。


全員が用意できたのを見て、
星野は車を発車する。





星野たちの居た場所には、
集まっていた野次馬だけになった。




その中に、うさぎの母、育子がいたことは、

誰も気が付かなかった…。









沈黙が続く車内。




うさぎも星野も、
何を話せばいいのかと戸惑い、
結局言葉が出ず終いになっている。







「……………。」


「……………。」





二人して沈黙を守る。




そんな車内の様子を、
後ろに付いていたはるか達の心配そうに覗く。








「・・・あの子が混乱するのも当たり前ね。
好きな子が突然大人になってて、
しかも女王なんだもの。
……理解するのは大変だわ。」



みちるが、二人を見ながら、
星野に対して同情的な意見を言う。



皆もそうだろうと納得する中、
はるかだけが、嫌味な言い方をした。




「・・・俺がやつの立場でも、
なにがあっても君の話を信じるさ……。
どんなに時が経った姿でも、一目で君だと肯定するさ。」




「あら。
何か対抗意識を燃やしているようだけど、
彼だって、今あなたが言った事を実演しているわよ?
そうね、・・・頭より心で、判ってしまってるのかしらね。」





みちるの言い返しに、
少しからかった様な言い方をするはるか。



「おや?
随分と今回は庇うんだな。
妬けそうだよ……。」




「まあ、それなら狙い通りでしてよ。」






見つめ合い、お互いに「ふふっ」

と笑い合うと、また心配そうな目を、前線の車に向けた。







後部座席のせつなは、
力を使ったせいか、丁度お昼寝の時間だからか、
うとうとし始めたほたるを膝に抱きながら、



イチャつく前に、うさぎ達を一心に心配してくれ、

と心で呟いたとか口に溢したとか……。







星野がうさぎ宅まで着くのに
10分程度で行けた道のりは、


車2台を並べて、20分程で到着した。







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