スクランブル

□2nd
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朝早くに登校するのが習慣。


基本的にはいつも教室に一番乗り。



だけど今日は教室に入るや否や、思わず立ち止まってしまうような光景が目の前にあった。



「はよー」


まさかの仁が、足を机に上げ座っていた。




『な、に、してんの』

「何って…待ち伏せ?」

『あー…ストーカー?』

「ちょ、そこは受け流してくんない?」


苦笑いしてる仁の横を通ることなく、前から二番目という嫌なポジションの席に着く。



唯一の救いは、窓際だってことだけ。




「昨日さ、放課後何してた?」

『は?』


一瞬何のことかわからなかった。


だけど、すぐに思い出した。



あの時の感覚、感情、その全てを。




「だめじゃん。
あいつとあんなことしたら」

『何もしてない』

「そ?」

『そう。
ていうか、もしかして仁嫉妬してんの?』


ふっ、て笑って言ってやった。



「してねぇよ」


そう言うとすぐ仁が私の元に来て、椅子に座っている私の膝の上に向かい合う形で乗ってきた。



密接する体と体。



「こういうこと、学校でしちゃだめー!っつってるだけじゃん?」


仁の笑顔は、明らかに作り物だった。



『はいはい。
わかったからどいてねぇ』


仁の気持ちを逆撫でするように、わざと適当にあしらった。


「…」


何かしでかしそうな顔してる。


と思ったけど、少し間を置いてから、あっさりと私から離れていった。



少し物足りなさを感じてしまったのは、気のせい?

それとも――…





それにしても、今日はなんだかいつもとは違う一日になりそう。

根拠のないただの勘を、意味もなく働かせる。




「まぁ今日はいいや」


あっさり引いた後、独り言のように言った。


『"今日は"って何、"今日は"って』

「"明日は"保証できねぇ、みたいな?」


ニヤッて笑う顔が可愛かった。




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2007.9.22(sat)





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