oh-furi!!

□S.O.S
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「もしもし、泉?寝てた?」


夜中、2時。

眠たい目を擦って、携帯に手を伸ばすとあいつの声がした。


「寝てた。つーか、寝てない方がおかしい」
「そうだよね!ごめんね!」


あはは、って笑ってるけど声に張りがないつーか…元気が無くなってる。


「何か用?」
「大したことじゃないんだけど!……バカらしいって笑わない?」
「コトによる」
「笑わないって言ってよ」
「いーから、何?」
「さっき、変な夢みてさー」
「変な夢?」
「そう!」


あいつは一呼吸措いて、笑いを抑えるような口調でこんなことを口にした。


「アンパ●マンとドラ●もんが世界征服を企む夢!!」
「お前ってつくづく馬鹿だな」


ここぞとばかりに爆笑してやった。


「笑わないって言ったのに!!」
「コトによるって言っただろ」
「むー…」


うわ、めっちゃ怒ってる。
でも…と俺は事を考え直す。

(そんな事を言うなら、別に明日の朝でも話は出来るのに…尤も、こいつメール主義だし…)

(況してや、こんな時間に電話するような奴じゃない)

俺は、まだ電話の向こうで不貞腐れてるであろう彼女に話しかけた。


「それを言うために電話したんじゃねぇ…よな?」
「うへっ!」


三橋みたいな反応を示す。(分かりやすっ)


「人の睡眠妨害までして何が言いたかったんだよ?」
「……相変わらず、泉は優しいね」




「大好きだよ、ありがとう」




「……ぇ…?」




俺には彼女の残した謎の言葉と、電話の向こうから聞こえる虚しいツーツーという音が響いた。






(最後に君の声が聴きたかっただけなの)




次の日から、彼女は学校に来なくなった。

正しく言えば来れなくなった。

イジメでも暴力でも転校でもない。


彼女は、幻の如く姿を消してしまった。




2007.0811.

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