oh-furi!!

□愛の言葉を聴かせてよ
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「嫌な場所に立ち寄っちゃったなー」


日直の仕事の帰り道。(ゴミ出しでした)
校舎脇を通ると、聞き覚えのある声がしたものだから近づいてみたら…





「私…泉くんのことが……、好きです」





なんつーの、コレ…告白?告白だよね?
え?告白されてんの、泉?泉って、泉孝介?

もう私はパニック状態。

だって、こんなところ見たくなかったよ!
心臓バクバクで、その場に立ち竦んでしまった。



「あのさ、菊川」





「俺さ…好きな奴いるから、お前とは付き合えない」






胸がズキッと痛んだ。菊川さんも…私も…


(泉の奴…好きな人いたんだ…)



「そ、そうだったんだ……ごめん」
「何で菊川が謝んだよ」
「ごめん…う、ちょっと泣けてきた」


そういう彼女の笑顔が眩しいよ(泣いてるけど)
こっちにも泣いてる人、いるんだけどね


「い、泉くんの好きな人…ってどんな人…?」
「ん?えーと…」


心拍数上昇、再来。

知ってどうする?、とか思ったけどやっぱり耳を澄ましてしまう。

泉は一瞬キョトンとした顔ぶりを見せたが、はにかむような笑顔で話し始めた。


「そいつさ、すっごい鈍感な奴で。顔だって頭だってそんなによくないし、泣き虫で負けず嫌いだしさ…」


恥ずかしげもなく、その子のことを話す泉。




「そいつのことが、放っておけないんだ」




ニコッと笑う姿に、ドキッと胸が高鳴った。


「泉くんって…変わってるよ…」
「よく言われる。じゃ」


手をヒラヒラと振って別れを告げると、彼はこっちに歩いてきた(靴箱の方向なんだけどね)


(やばいっ、どこかに隠れな…)

「何してんだよ?」


み、見つかったーっ!?


「いや…あの、その…」
「人のプライベートを盗み聞きとは、いい度胸してんじゃん」
「ひぃぃーッ!!!」


泉は私に聞こえるよう、盛大にため息を零すと


「本当、お前ってさ…顔も大したコトない、頭だって悪りぃ。そんで、また泣いてるし」
「なっ…!?」
「だから、放っておけないんだけどさ」


じゃまた明日な、と言い残して靴を履き替えて行ってしまった。




「あれ?今の台詞…」



私、自惚れてもいいですか?





愛の言葉を聴かせてよ
(好きだと言ってください、愛しい人!!)(お前に聞こえるように言ったんだからな)






2007.0827.
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