心の精霊

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―何故、人間は争いを繰り返すのだろう?


何故、私は人間を嫌いにならないのだろう…?








「止まれヴェリウス!

また人間の為に身を投げ出すのか…!?」


人間でいうと仙人のような精霊が人間界に降り立とうとしている一人の少女を呼び止めた


『此処にいても私には見守る事しか出来ない

…だから私は人間の未来に歩み寄る道を選ぶ!』


己の覚悟を伝えて少女は精霊界から姿を消した


「これが心を統べる精霊の運命なのか…ヴェリウスよ」


頭を抱えて思い悩む精霊の想いに触れる事のなく…














〜第一章 出逢い〜







『…わぁ』


人間界の地に降り立ち魔物と何度か戦いたどり着いた街に私は目を輝かせた


街を照らす街灯に舗装された道、人間が暮らす建物…


『っと、私は人間なんだから平常心でいないと…

(!、この気配は…)』


自己暗示をかけるように心を落ち着かせていると、この街の何処かから精霊の気配を感じ取った



フッ…


『えっ?

(灯りが…)』


街を照らす街灯が全て消えて真っ暗な視界に戸惑いながらも、精霊の気配を辿って私は歩く事にした


『精霊の影響?、それとも…』


―人間の負の感情がもたらした災い…?



『あっ…』


進んで行くとこちらに向かって来るひとつの影を見つけた


私は立ち止まってその影…
黒髪の少年を見た


「…?」


少年も私に気づいて立ち止まり不思議そうに私を見た


「君は…?」


『私はせい、じゃなくて…

人間でなりたての旅人、だよ』


「えっ?」


何とも言えない返答に首を傾げる少年
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