心の精霊

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―薄暗く足元には水が流れてジメッとしている地下水路を進む私達



『…さっきの人、いないね』


「うん、この先を進んで行ったのかな…」


『走って追いかけてみる?』

「だ、ダメだよ!。何があるか解らないから慎重に行こう」


『はーい…』


私は先頭を歩いていたがジュードに注意されたので後ろに下がった



「…あの、ルナは旅人なんだよね?」


『うん、そうだよ』


「僕と歳が変わらない子どもなのにどうして旅をしてるの?」


『えぇっと、それは…』


―本当は人間ではなく精霊で、ある使命を為す為に人間界を旅している



『(なんて、言えない…)』


《宵かヴェリウス

何があっても決して己から精霊であることを名乗ってはいかぬぞ

人間に、例え同じ精霊でもだ…》



―私が生まれて間もない頃にそう教えてくれた


名も何も知らない精霊に…




「ルナ?

…ごめん、聞いちゃいけない事だったかな」


『ううん、違うの!、そんな事…』


ジュードは何も悪くないのに申し訳なさそうに謝るので私はハッとして弁解しようとするが言葉が詰まった


真実を隠して嘘を付くしかないのだから…



「子ども?」

『「っ!」』


地下水道の右角から一人の警備員に見つかってしまった


「えっと…勝手に入ってすみませんでした!」


「ハァ、本来なら警備行だけど、素直に謝ったから黙っててあげるよ」


サッと頭を下げて謝るジュードに優しい声で語りかける警備員



『(!、この人…違う)』


―人間でいうと防衛本能

心の精霊(私)だけにある力が警備員の心を感じ取った



「さぁおいで、出口に案内するよ」


警備員の手招きについて行こうとするジュードだが、動かない私に気づいて振り返った


それに続いて振り返る警備員


『っ!?』


一瞬だが見えた闇を纏う姿に驚き確信した



―負の感情を持った人間と精霊の敵…!



『ジュード!、その人から離れて!』


「えっ?」


私は叫んでジュードの腕を掴んで警備員から離れさせ武器を取った
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