心の精霊

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――



光のない真っ黒な闇に身体が呑み込まれていくのを感じた


―私、もう消えちゃうのかな…

せめて、ジュード達と研究所を出て…それから……



《ルナ…!》


―この声はジュード…?




重い瞼を開けると必死に手を伸ばす黒髪の少年、ジュードが視界に映った


私はゆっくりと手を伸ばしその手を取ると、繋いだ手から光が差し込み私達を包み込んだ


あまりにも眩しく目を閉じたその時…


《さぁ、行きなさい

貴方の純粋な心で世界を……》


ミラでも四大精霊でもない女性の優しい声が聞こえた…



――




『……んっ…』


「ルナっ!」


再び目を開けると私はミラに背負われた状態で街を歩いていた


横を見るとジュードがホッとした顔で私を見ていた


「よかった、何処か痛いところはない?」


『う、ん……頭がクラクラする、かな…』



ぼんやりしたまま額に手を当てて言うとジュードが慌ててそこに手をかざしてきた


『……え、だっ駄目だよジュード!、さっきのでジュードもマナが減ってるんだから!』


私は治癒術で頭痛を治してくるジュードの手を取って強引に中断させた


「ルナの言う通りだ、自滅行為だぞジュード」


『そ、それより、ここは…?』


「イル・ファンだよ、研究所の下が川で僕達が会った場所まで流れ着いたんだ」


その後、ジュードが助けてくれた事、警備をしている兵士が襲って来てまた見つかる前にミラが海停から街を出る事を聞いた


『(さっきの夢…、ジュードの手を取ったところまでは現実だったのかな…?』


「ルナ?」


『あ、ううん…

ミラありがと。もう自分で歩けるよ』


「うむ、そうか」


頷いたミラは姿勢を低くして私の足を地に着かせて降ろしてくれた


『あれ……』


するとすぐに立ち眩みがしてフラつくと慌ててジュードが支えてくれた


『あ、ありがと』


「無理しないで、僕が支えるから」


『う、うん…』


先ほどの安堵の表情はなく、肩を貸してくれるジュードは心なしか怒っているように見えて私は気まずく感じながら歩いた…
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