心の精霊
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―アルヴィンの仕事は傭兵
金の代わりに魔物討伐などの人助けをするすばらしい仕事と説明してくれた
そして、私達を助けた理由も“助ければお金がせびれそうだ”という単純なものだった
いきなり住んでいる所から旅立ったジュードはもちろん、ミラも報酬分のお金を持ち合わせていなかった
「ルナは?」
『えと…ちょっと待って…』
私は荷物を調べて財布の中を見た
『……宿代ぐらいしかないや、持ち物込みで』
「え、ルナって旅人だよね?」
『う、うん…アハハ(笑)』
「ギリギリのお金で旅してたんだね…」
笑って誤魔化す私にやれやれといった顔をするジュード
「お嬢さんが旅ねぇ…」
「何か問題があるのか?」
「いや、似合わないなぁって」
『何が似合わないって?』
私とジュードは二人の会話を聞いてなかったので不思議そうにアルヴィンを見た
「いや、それよりタダ働きか…
しゃあない、ア・ジュールで仕事でも探すか」
「ア・ジュール…、この船ア・ジュール行きだったんだ…」
ポツリと沈んだ様子で呟くジュード…
――
―この世界《リーゼ・マクシア》は長年にわたり唯一の超大国として君臨している《ラ・シュガル》と近年になって急速に国力を増している《ア・ジュール》二ヵ国で成り立っている
この船はラ・シュガルにあるイル・ファンから、ア・ジュールにあるイラート海停へと渡っているのだ
――
船はイラート海停に停泊し、私達は船から降りた
「へぇ…ここがア・ジュールかぁ。外国なのに、あまりラ・シュガルと違う感じはしないね…
あ、あそこに地図があるね。ちょっと見てくる」
船から降りると明らかに空元気で話したジュードは地図の掲示板を見つけて一人で行った
『私も…』
「今は一人にしてやろうぜ」
ジュードを追いかけようとすると後ろからアルヴィンに肩を掴まれ止められた
「見た目ほど幼くはないようだ、ジュードなら大丈夫だろう。ルナが気に病む事はない」
『うん…』
「おたくが二人を巻き込んだんだろ?、随分と他人事だな」
手を離したアルヴィンが呆れた口調で言った
「確かに世話になった。だが、全ては本人達の意志だぞ
私は再三、家に帰れと言った」
「それでおたくに当たるわけにもいかないからああなったわけか…、お嬢さんも」
『そうであってもなくてもミラには当たらないよ…』
―ジュードの心配にミラの正体、アルヴィンの負の感情
研究所だって…
『(やるべき事がありすぎて八つ当たりどころじゃないよ…)』
私がハァーと長いため息を付くと、アルヴィンがポンポンと頭を優しく叩いて慰めてくれた