心の旋律

□夢は理想
1ページ/1ページ

「よっ、ルナ。今お一人様?」


『アルヴィン!、うん、一人だよ』


一人、夜風に当たって月を見ていたら出歩いていたアルヴィンが宿屋に戻ってきた



「淋しそうだから付き合ってやるよ」


『エヘへ、ありがとう』



アルヴィンは私の隣で同じように壁にもたれて空を見上げた



『…アルヴィン』


「ん?」


『アルヴィンはどんな夢を持ってる?』


「いきなり難しい話を持ってくんのな…」



やれやれと苦笑しながらも私の質問に対する答えを考えるアルヴィン



「今までずっと生まれた故郷に帰る事だけを見て偽りの自分を作って生きてきたからな…

その後の事なんて考えもしなかった。考えたら隙だらけになって人生なんて終わってたからな」


『…今は、どう?』


「今は…とりあえず夢を見つける事が俺の夢ってとこか」



迷いも嘘もない真っ直ぐな表情でアルヴィンは言った



『今のアルヴィンなら大丈夫、きっと見つかるよ』


「ククク、前の俺に酷い言い様

…そうだよな、やってみせるさ。もう二度と居場所を失わねぇように」



ありがとなと言っていつもの調子に戻って私の髪をクシャクシャにしてくるアルヴィン



「そんで、お前の夢は?」


『えっ?!、い、言わないよ!』


「そんなつれない事言うなよー、まぁ大体解るけど」


『解ってるなら聞かないでよ…』


「言っとくけど俺にだけ言わせた代償は重いからな」



手を頭の後ろで組んでニッと笑うアルヴィンに私は口では勝てないと自重した



『…私はヴェリウスとして世界を見守る、けど…』


「けどの後だろ、本当にしたい事は」


『うん、私のまま人間になって女の究極の幸せの道を歩みたい、かな』


「随分ストレートだな

究極の幸せって事は結婚かぁ」


『うん、子どもをいっぱい作って温かい家族で暮らていきたい

叶うはずないけど、皆といたらそんな未来を夢見るようになったんだ』



私は壁から離れて前に出た


『アルヴィンはお兄ちゃん、ミラはお姉ちゃん、エリーゼとレイアは妹、ローエンはおじいちゃん、ジュードは…』


「恋人、だろ?」


『……うん

私ね、言葉じゃ全然足りないくらい皆といると凄く楽しかった』


「何で過去形だよ、これからもだろ?

俺達の絆はこの旅だけじゃない、例え違う世界でもな」


『っ……うん!

ありがとう、アルヴィン』




―本気でぶつかりあって出来た絆は永遠に続く

例えどんなに離れていても…
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ