心の精霊

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ビュウウ…!

『「わっ!」』



突然強い風が吹いてきて、私と少年は腕を挙げて顔を防いだ



「あっ!」



カサッと紙切れが風に飛ばされる音が聴こえてすぐに少年が叫んだ



『どうしたの?』


「さっきの風で持っていた紙が飛ばされ、て…!」



困った表情で話していたが何かを見て目が見開き驚き表情になった少年



『えっ、と…どうしたの?』


「あれ!」


『えっ…、!(女の人が、水の上を歩いてる…!?)』



紙はまだ宙に浮いている中、少年の指差す方を見るとキレイな女性が水の上を歩いていた


いや、精霊術か何かで小さな円形を幾つも水面に出現させ道を作りその上を歩いていた



私と少年は同時に走って道の端に造られている手すりに身を乗り出し、女性を見た



『(さっきの気配はこれだったんだ。でも、何であんな所を歩いて…)

あっ』



そこにヒラヒラと紙が水面へと落ちていくのが見えた



『よしっ!』


「よしって…?、ちょっ!?、危ないよ!」


私が片足を手すりに掛けると少年が必死に止めにきた



『大丈夫(ニコッ)、旅人だか、らっと!』


「旅人と飛び降りるのは関係な…!」



少年の言葉を聞かずに私は女性が作った水面に浮かぶ道に飛び降りた



――




『わっ、……今さらだけど、作った人しか乗れない仕組みじゃなくてよかった』



無事に着地した私は道の先にいる女性の背を見た



女性は私が水面に乗った事に気づいていないようで、振り返らずに進んでいた



『えーっと…かみ、紙

あった!』



幸いにも少年の紙は道の上に落ちていて、濡れずに済んでいた



『運がいいね…』


「君!、早くこっちに逃げて!、早く!!」


『へっ?』



紙を拾った束の間、いつの間にか道の先に立っている少年が私に向かって叫んでいた



『?、何言って、っえぇ!!?』



ガクンと身体が傾き足が水に浸かったのに驚き私は全速力で少年の元まで走った
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