心の精霊
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『ここが海停…』
兵士に見つかる事なく海停にたどり着いた私達
そこは露店で賑わう人が大勢いた
「あれで海を渡るんだよ」
「なるほどな」
ジュードが船を指して教えるとミラが頷いた
「それで…ルナはどうするの?」
『えっ?、…私は』
―研究所の兵器、クルスニクの槍を破壊するには今の私じゃ悔しいけど無謀すぎる
二人がいたから私は今もこうして生きているんだ
かといってこのまま放置して街を出れば教授達みたいにされる人が出続ける
この街で暮らすジュードだって…
私は目を閉じてすべき事を考え、ジュードとミラを交互に見た
『ジュード、ミラ、私…』
決意を伝えようとしたその時…
『「!?」』
「軍が…どうして…?」
わらわらと人混みを抜けてきた数名の兵士達が私達を囲んだ
「ジュード・マティス、逮捕状が出ている。そこの女二人もだ」
「その声…エデさん!?」
一人の兵士が前に出てきて逮捕という言葉に驚いていると、ジュードがその兵士の名前らしきものを叫んだ
「軍特法により応戦許可も出ている。抵抗すれば命の保証はない」
「ジュード、ルナ、私は捕まるわけにはいかない。すまないが抵抗するぞ」
そう言うとミラは剣を抜いて構えた
「抵抗意志を確認、応戦しろ!」
エデが指示すると一人の兵士が精霊術を詠唱して火の玉を放った
それを軽々とミラが避けると数秒後背後から爆発音が聞こえ、賑やかだった海停は嘘のように緊迫した静寂に包まれた
そうした中、近くに停泊している船が出航の合図を鳴らしたのが聞こえた
「あれは船が出る合図か?」
「うん、たぶん」
「よし、ここで別れよう。さらばだジュード、ルナ。迷惑をかけたな」
『「ミラ!?」』
この状況であっさりと別れを告げ一人で船にへと走るミラの名を私達は叫ぶが、彼女は振り向きもしないで行ってしまった
その後を兵士が数人追ったが、今はそんな事を気にしている状況じゃない
『(どうしたら…!?)』
「先生と貴方は抵抗しないでくださいよ。その分罪が重くなります」
「ち、違うよ…!、僕は…」
『罪って何よ?!、私もジュードもミラも何もして…!(ガシッ)っ!』
エデの言葉にカッとなりジュードから離れて前に出ると、ジュードが力強く私の腕を掴んで止めた
振り返ると俯いていて表情は見えないが腕を掴む震える手から酷く困惑しているのが解った