LOVE▲TRIANGLEU

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「んー!今日も良い天気だなぁ」

カイジのことも、二人のことも一先ずは心の整理が出来た。たまにカイジの夢を見ると、涙が止まらないけれど、自分で落ち着けるようになった。あの、カイジのピアスはおじさんの墓の横に埋めてきた。どうか安らかに見守ってくれますように、と。空の上のカイジが笑ってくれた気がした。
今日は特にすることもなく、庭で一人ぼーっとしている。帰ったら遊ぼうと約束した家綱が学校から帰ってくるのは午後のこと。リボーンさんは任務が終わったらお茶でもしようと誘ってくれた。大きな欠伸を手で抑え、私は庭の花や青空を眺めていた。



「…平和だなぁ」

この世界の表は何時もこうなんだろうけど、裏に居座っているからこうやって実感するのはいつぶりだろうか。





「ん…?」

ふと、庭の端っこに小さな子供が目に留まる。いつ入って来たんだろ。一先ず話しかけてみようと私は椅子から立ち上がって小走りに彼に近づいた。



「こんにちは!」

その男の子は多分二、三歳くらい。私が隣にしゃがんで挨拶すると、こっちを向いて目を見開いた。







「ぼく、名「ママー!!」

「は、い…?」

男の子はニコニコして私に抱き着いている。…ちょっと待って。今この子私のこと"ママ"って言わなかった?



「何やってんだひな」

「あ…リボーンさん。任務お疲れ様です」

「疲れたぞ。慰めてくれ」

男の子に気付いていないまま、リボーンさんは歩み寄ってきて私を後ろから抱きしめた。それだけで私が大きく肩を揺らしたからだろう。後ろから笑い声が聞こえた。



「…絶対疲れてませんよね」

「ひな不足だから疲れてるぞ」

「…どんな理由ですかそれ」

甘えてくるリボーンさんは大きな子供みたい。リボーンさんにもこんな一面があるなんて珍しい。





「…誰だその餓鬼は」

私の陰で見えなかったのか、リボーンさんはようやく男の子の存在に気が付いた。


「それが…私にも分からないんです。話し掛けたらいきなり"ママー!"って抱き着いてきたんですけど…」

「…まさかお前の隠し「パパー!!」

「へっ?」

立ち上がった男の子は今度はリボーンさんに抱き着いた。流石のリボーンさんも突然のことに、困惑しているようだ。



「ママとパパはなかよしだねっ!」

私とリボーンさんの手をそれぞれ握ってニコニコする男の子。私とリボーンさんはただ何が起こっているのか理解に苦しんでいた。















「えっ?!二人の隠し子?!?」

「そうだ「違います」

勝手に肯定しようとするリボーンさんを抑え私は首を横に振って否定した。



「…なんで否定するんだ」

「本当のことじゃないですか!」

「…忘れたのか?あの日のことを」

「そういう演技は止めましょうか。ボスが信じるので」

私とリボーンさんの間に座る男の子、ノーノ君は、まだ私達の手を握ったままニコニコしている。



「…ひなが正しいのは分かってるけどさ。実際何処から来たんだろうね」

「それが分かったら良いんですけど…」

本人に聞いても名前と年しか教えてくれなかった。家の場所や家族のことを聞いても、答えたのは私達がパパ、ママで、家は此処だということだった。


「この周辺の託児所や幼稚園、保育園に連絡してみても駄目でした」

「広報部にチラシ作らせてる所だ」

「そっか…」

ボスは少し考える素振りを見せ、すぐに手を打った。


「一先ず親御さんが見つかるまでは二人が面倒よろしくね」

「えっ…私一人でも大丈夫だと思いますけど…」

リボーンさんも任務で忙しいだろうし、私は孤児院で世話は慣れてるからそんなに苦労はしないはず。




「だってリボーンが"パパ"なんでしょ?」

「そ、それは…」

「よろしくね、"ママ"」

二人には任務を出来るだけ回さないようにするからさ、ボスは楽しそうに笑った。












「すぅ…」

安心した表情をして眠るノーノの頭を、ひなは何度も優しく撫でている。昼食の最中、こっくりこっくり眠たそうにしていたノーノをひなは持ち上げ自分の部屋のベッドへ寝かせたのが3時間前。ひなは何をすることなくノーノを温かく見守っている。


「お前、本当に子供が好きなんだな」

「はい、大好きです。なんか、子供見ると母性反応が出るんですよね」

ノーノがはだけさせた毛布をそっと被せた。




「お前なら良い母親になるだろうな」

「…そう言ってもらえると嬉しいです」

「俺が父親になったら尚更良い家庭になるだろうな」

「っ!リ、リボ…ンさん」

ひなは大声を出しかけた口を手で抑えた。俺は音を立てないよう気をつけながら肩が触れ合うくらい近づいた。




「どうだ。作るか」

「な、何を…」

「言わなくても分かってんだろ」


ひなの耳元でそっと囁く。







「子作り」

みるみる内にな林檎色に染まったひな。俺が声を殺しながら笑うと、ひなは俺を軽く睨んだ。


「…冗談は止めて下さい」

「冗談じゃねぇぞ。なんなら今此処でするか?」

俺の本気を悟ったのか、ひなは後ろに下がろうとした。が、生憎下がれる所はない。壁に手をつき、逃げ場を失わせたその時。



「んっ…パパ…ママ…」

見事なタイミングでノーノが起きてしまった。俺は小さく舌打ちした一方、ひなはホッと一息ついた。



「あれ…パパ、ママなにしてるの?」

「お前の妹か弟を作ろうとしてるんだぞ」

「な、何言って「ほんとう?ぼく、おとうとがいいなぁ」

ノーノがそう答えるとは予想だにしなかったのか、ひなはぽかんと口を開けている。



「よし、男だな」

「あれ…何で私を担いでるんですか」

「ノーノ。悪いがベッドから下りてくれるか」

「うん!わかった」

ベッドからノーノが下りたと同時にひなをベッドにそっと下ろす。



「ちょ、ちょっと…リボーンさん!!」

「息子の頼みだぞ。仕方ねぇ」

「仕方ねぇって顔してないんですけど?!その笑みはなんですか?!」

「安心しろ。優しくしてやる」

「いや、まじで止めてく…キャーーー!!!」


結局、唇まであと数pの所で、ひなの悲鳴を聞いたツナがやってきて、邪魔された。チッ…ダメツナが。…流れ弾には気をつけろよ。










(リボーンさん最低)
(…悪かった。度が過ぎた)
(…ふん)
(頼むから機嫌直してくれ)
(ママとパパけんかはだめだよー?)
(………………新しく出来たアイスクリーム屋さん)
(よし、明日にでも行くか)

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