Love△Triangle
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「…グッゾファミリーって、あの?」
「そう。俺の判断ミスでね。あいつら好き勝手やってるんだよ」
「だから言ったじゃねぇか。潰した方がいいって」
ボスは申し訳なさそうに何度も謝った。
グッゾファミリーは元々ボンゴレの同盟だったけど、麻薬売買や無差別暴行、人体実験を裏でしてることが分かって先月同盟破棄したのだ。ボスの読みでは当分動かないだろうと踏んでいたけど、ボンゴレ管轄内で犠牲者が出たらしい。当然黙っているわけにはいかなくなったんだ。
「それがさ、一つ問題があって…アジトが分からないんだよ」
「地下に潜んでるってことかコラ」
「だろうね」
地下に潜っているとしたら特定するのは難しい。レーダーでもなかなか探知出来ない。
「それで…」
ボスは私の方を見て眉を下げた。
「ごめん、ひな。だけどやってほしい」
「えっと、それは…」
ボスの話によると、グッゾファミリーのボスは大の女好き。管轄内の風俗店でも姿を見たという噂もあるらしい。そこで、私が風俗嬢に成り済まし、ボスに接客して上手いことアジトへ潜入する。私の探知器でリボーンさんとコロネロも後を追ってアジトを掴む。そして三人で壊滅させる、とのこと。
「だったら俺とひなの二人で十分じゃねぇか」
「…もし、ひなが攻撃体制を取れなかったら?」
なるほど。ボスは最悪の事態を想定してるらしい。
「俺だってこんな、ひなを囮にするようなことはやらせたくない。でも…もうこれしか…」
「あの、ボス。被害って拡大してるんですよね」
「え、ああうん。毎日少しずつだけど増えてる」
その言葉を聞いて私は心を決めた。
「…私は任務を引き受けます」
「ひな?!」
「私は…いや、私たちボンゴレは皆を守るためにいるんでしょう?だったら、例えそれがどんなことだとしても…私はやります」
それは私がボンゴレに入る前に決めていたこと。私はただ誰かを傷付けるだけのマフィアになりたくない。誰かを守るマフィアでありたい。
「…チッ。部下にそこまで言われたら俺もやるしかねぇじゃねぇか」
「コイツが覚悟決めたなら俺もやるぜコラ!」
リボーンさんもコロネロも引き受けてくれるらしい。すごい心強かった。
「ありがとう。三人とも」
任務は三日後から。連絡手段、二人の待機場所などは前日に打ち合わせするそうだ。
「でもよ、一つ忘れてねぇか」
「何ですか?リボーンさん」
リボーンさんはニヤリと笑った。あ、これは何か嫌な予感がする…。
「作戦だと"ひな"が、標的を誘惑するみてぇだが。コイツにそんな芸当出来るのか」
一気に三人の視線が集まった。
「いや、ひなも一応女の子だし。その気になれば…」
ボス、フォローになってません。
「……。」
コロネロに至っては無言だ。無言って何?!
私は小さく溜息をついた。
「…皆さん。私のこと馬鹿にしてるんですね」
「いや、そういうわけじゃ…」
「いいです。誘惑すれば良いんですよね?」
私は一番近くに居たリボーンさんに近付いた。
「…ひな?」
「リボーン」
私はじっと下から顔を見上げた。
「私…貴方になら何されたっていい…」
頬に手を添え鼻の先がくっつくらい顔を近付ける。
「…っ!」
「私の、全てをあなたに…」
甘く…耳元で。
「あげる」
リップ音と共に耳から唇を離す。
手を離し、三人を見渡すと皆固まっていた。
「あれ…皆?」
どうしたんだろうか。目の前のリボーンさんも、その後ろにいるコロネロも。席に座るボスでさえ。
「あのー…」
「だ、駄目だよ!」
ボスはいきなり立ち上がり私の両肩を掴んだ。
「…やっぱり駄目ですよね。色気足りませんし」
「じゃなくて!コイツら見てみろよ」
ビシッと指差したのはリボーンさんとコロネロ。よく見てみると、リボーンさんは顔がほのかに紅潮していて、コロネロは真っ赤になっていた。私は誘惑に成功したらしい。
「ひな!標的には今の50%…いや30%でいいからな」
「は、はい」
よく分からないけれど、ボス命令だから聞いておこう。
「まさかひながテクニシャンだとはね…」
「(…やべぇ。こんなザマ初めてだ)…だな。俺も知らなかったぞ」
うんうんと頷くボスとリボーンさん。
「み、皆が馬鹿にするからやっただけです!私は軽い女じゃありません!」
「分かってるよひな。だけどねぇ…リボーンがあそこまでやられるんだもん。(俺もちょっとやばかったけど)」
「誰に教わったんだ?」
まるでコロネロと言わんばかりにリボーンさんは睨みつけていた。
「…骸さんです」
「骸だと?!」
何やら殺すって聞こえたんだけど…気のせいですよね?ボス、どうしてニコニコしながらグローブはめてるんですか?リボーンさん、なんで銃装着してるんですか?!
「お、落ち着いて「「ちょっと殺ってくる」」
殺気全開で二人は執務室から出ていった。私は慌てて二人の後を追った。残されたコロネロは今だにフリーズしていたのも気づかなかった。
(火あぶりか穴が体中空くか、選ばせてやるぞ)
(どちらも嫌ですよ!)
((分かった。両方だな))
(ま、待って下さい!骸さんのこと許してくれませんか)
(ひなが言うなら仕方ねぇ…が。ソイツに抱き着くようなら撃つぞ)
(言う前から撃ってるじゃないですか!)
(アイツ…今のは反則だろ!)
(相手がリボーンってのは納得いかねぇけどな)