Love△Triangle
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「片付いたか…」
数は多かったがただの雑魚集団。話にならなかった。コロネロが向かったであろう奥の部屋へと足を早める。静かな廊下には血の臭いが充満していた。
着いた先は大きな扉。おそらく此処に居るんだろう。中からは何も聞こえねぇし、ボスは殺したようだ。扉に手をかけたその時だった。
「…んっ。あっ、コロ、ネロ!」
「っ、わりぃ、ひな。止められそうにないぜコラ」
「やっ、あんっ!激し、っ」
ひなの嬌声とコロネロの声。二人が何をしてるのか見なくても分かってしまった。
「ハッ…ざまぁねぇな」
壁にもたれながら自嘲した。助けに行くように譲ったのは自分だった。でも俺が助けに行ってれば…そう後悔してしまう。
「俺…こんなにひなを愛してんだな」
ようやく認めたくなかった気持ちを認めた。何でもっと早く…
「クソッ…!」
ガンッと壁を叩くと拳から血が流れた。それすら気にせず俺はただ唇を噛み締めていた。
「…ハァ、やっちまった」
なんて最低な男なんだろうか俺は。あんなの誰だって同意するに決まってるのに、弱みに付け込むなんて。それでも、それでも俺は喜びを噛み締めていた。ひなを最後に抱いた日から俺は誰とも寝なかった。いつか来るかもしれない…そんな日を期待して。だから遠慮は全くしなかったし出来なかった。
幸福感に浸りながら隣に目をやると、ひなは寝ていた。その顔は安心しているようでホッとする。
「オイ、精力旺盛野郎」
「…リボーンか」
まだ敵が残っていたかと思いライフルを構えようとすれば目の前に現れたのは奴だった。
「終わったみたいだなコラ」
「俺を誰だと思ってやがる。お前がひなを襲ってる間にもう片付けたぞ」
「襲ってはねぇよコラ。同意の元だ」
するとリボーンは驚いたように目を見開く。
「…まぁ俺が半強制的にさせたみたいなもんだが」
「最低だな」
ハッと笑うリボーン。
「…つーかお前その手にあるソレ下ろせコラ」
「何言ってんだ。お前をぶち抜くためだぞ」
その言葉に眉をひそめた。
「お前見てるとイライラして仕方ねぇ」
「それは前からの話だろ」
「ちげぇよ。…お前がひなにとって大きな存在だからだ」
その目は淋しげにひなを見つめていた。まさか、コイツ…
「お前、ひなが好きなのか?」
「………ああ」
今度は俺が驚く番だった。でもすぐに落ち着きを取り戻し、目の前の男を睨んだ。
「お前みたいな軽い男にひなを好きになる資格はねぇぞコラ」
「言っておくが愛人とは全員別れたぞ」
「!…嘘だろコラ」
「本当だ。さっき全員に電話かけた」
その目は嘘をついているようではない。チッ…それだけ本気ってことかよ。
「俺の方がリードしてるぞコラ」
「それは分かってる。でもな、」
ゆっくり近付いてきたリボーンに警戒していると、奴はただベッドに座りひなの頭を優しく撫でた。その顔は俺がひなを見る目と同じだろう。愛おしむような…
「コイツだけは誰にも渡したくない。そう思うんだよ」
「リボーン…」
コイツがこんなに本気で誰かを愛するなんてことあっただろうか。いや俺の知る限りではなかった。明日は地球が滅ぶかもしれないってぐらい、珍しい。けど悪いが譲る気はなかった。
「俺は負けねぇぞ」
「上等だ。俺が奪い去ってやる」
バチバチと俺らの間で火花がぶつかり合う。その渦中にいる本人は何も知らずにぐっすり眠っていた。
(んっ…)
(起きたか、ひな)
(リ、リボーンさん?!)
(…お前せめてシーツで隠すぐらいしろ)
(あっ…!み、見ないで下さい!)
(オイ、コロネロ。今すぐこの目にある手どけろ)
(退かしたらお前見るだろうが!)
(コロネロも目つぶっててよ!)
(…はい)