Love△Triangle

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「リボーンさん…」

彼の名を呼んでも私を見向きもしないで瞳はただコロネロだけを見ていた。あの目は…!任務の時に敵に見せるような冷たい目…。どうしてそんな目でコロネロを見るの?
すくっと立ち上がったコロネロはリボーンさんと対峙する。周りには分かるくらい殺気が漂っている。二人の手には既に獲物が握られていて、力が篭められている。まさか…ダメ、駄目…!






「二人ともやめてぇー!!」

聞こえたのは二発の音。
















「「っ…ひな!」」

右腕と右肩に痛みが走り、私は顔をしかめた。リボーンさんの撃った弾は右腕に、コロネロの撃った弾は右肩に…

二人は急いで駆け寄ってきた。

「何でお前…」

「傷付いてほしくなかったから」

二人の顔を交互に見る。



「私にとって、リボーンさんも、コロネロも…大切な人だから…傷付く姿は見たくない…」

「……」

「なんで…なんでこんなことするの?!誰も浮かばれないでしょう?!こんな風にお互いがお互いを傷つけるなんて…。二人のこと大嫌い!!」

涙が抑え切れずに溢れ出す。


「「ひな…悪い/すまなかった」」

まるで死にそうな顔をする二人。私が大嫌いって言ったからだろうか?…でも私は悪くない。


「…謝るならお互いに謝って」

コロネロとリボーンさんは嫌そうに、だけど謝る小さな声が聞こえた。


「次…こんなことしたら口聞かないからね?」

「「…はい」」

二人がちゃんと反省した様子を見て、私は一先ず安心する。




「…っ!」

痛みに耐え切れず砂浜に膝を付く。


「「ひな!!」」

「だ、大丈夫だから…」

「何処が大丈夫なんだよ?!…オイ、コロネロ。ボンゴレに連絡してこい。俺は応急処置するから」

「ああ、分かった!」

コロネロは急いで官舎へ駆けて行った。



「とりあえず脱げ」

「すみません…肩が上がらないので…」

「…わりぃ。俺がやる」

リボーンさんの長い手が私のボタンを一つずつ外していく。


「リボーンさん?震えてますけど…」


「…恥ずかしいからに決まってんだろ。好きな女の服脱がせるなんて」

その発言に私は目を見開く。


「愛人の方の服脱がせたりは…」

「いつも無感情だったからな。でも…」

リボーンさんの頬はほのかに赤く見えた。





「ひなは駄目だ。…意識しちまう」

「!!」

私は仕方ないことだからって平常心で居たのに…リボーンさんにそんなこと言われたら意識しちゃうじゃないですか!
ようやくボタンは外れたものの、リボーンさんはそこで止まってしまった。



「…いいか?脱がしても」

私がこくんと頷くと、リボーンさんは右腕をゆっくり袖から外した。一応胸にはサラシを巻いているけれど、お腹は見えている。



「…お前、腹筋すげぇな」

「み、見ないで下さいよ!!」

「まぁそれだけヒットマンとして努力してきた勲章だろ?誇りじゃねぇか」

リボーンさんは私の傷口を見ながら言った。



「私、今まで恥ずかしく思ってたんですけど…」

「コロネロは何て言ったんだ?」

「……"流石俺の女だなコラ"って。馬鹿にされた気分でぶっ飛ばしましたけど」

「アイツ、デリカシーないからな」

二人揃って笑い合う。リボーンさんは手際よく止血した後、消毒して包帯を巻いてくれた。



「弾は運よく入ってなかったみたいだな」

「そうですか…。ありがとうございました」

ぺこりとお辞儀をするとリボーンさんは黙ってしまった。




「…なぁ」

「はい?」


「もし…俺があの時コロネロを殺してたらどうする?」

私達の間を冷たい夜風が吹き通る。





「…それはわかりません」

もしかしたら殺しにかかったかもしれない。そして我に帰った後、私はきっと自殺するだろう。



「でも…二人が無事で本当に良かったです」

「俺は心臓が止まるかと思ったぞ?」

「あの…ナイフ事件の時みたいに?」

リボーンさんは首を横にふった。



「それ以上にだ。全く…」
一息ため息をつくと、リボーンさんは私の頭に手をやりそのまま抱き寄せた。




「お前は本当に心臓がいくつあっても足りねぇよ」

「…リボーンさん達が無茶するからです」

「無謀なのはお前の方だろ」

その言葉に私は反論出来なかった。



「なぁ、頼みがあるんだが」

「私に出来ることなら…」

リボーンさんが頼ってくれる…その言葉が嬉しかった。


「じゃあ、回復させてくれ」

「回復…?何をどうすれば…」

「お前が居なかった分の補給だ」

リボーンさんは胡座をかくと、私をその上に座らせた。何するつもりなんだろう?私はただ疑問符を浮かべるばかり。








「時間が許す限り…な」

リボーンさんの声が耳元で聞こえた。私はお腹に回された手に気がつく。私…後ろから抱きしめられてる?!


「り、リボーンさん!!離して下さい!!」

「無理」

ばっさり断られ、お腹回りの腕にますます力が篭められた。



「…もういいです。好きにしてください」

「そうする」

リボーンさんはただ私を抱きしめるだけ。それでも私の心臓はバクバク音を立てる。







「…私があの時ボタン押したから来てくれたんですよね?助けに来てくれてありがとう、リボーンさん」

彼には聞こえないように、小さな声で呟く。腕の力が強まったのはきっと気のせいだろう。






(オイ!!ひなから離れろコラ)
(チッ…もう来やがったか)
(…リボーン、コロネロ?覚悟は出来てるよね?)
(なんかボスから黒いものが放たれてるんだけど…気のせいだよね)

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