Love△Triangle

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「それにしても…」

ツナの言葉にひな(十年後)は首を傾げた。その仕種はこの時代のひなと全く変わらない。


「大人の女性になったね、ひな」

「もう三十ですから」

「…三十には見えないけどね」

「若く見えるのはボスもですよ」

クスクス笑うひな。ふと、ひなの薬指が目に止まる。


「お前…それ…」


「ああ…私、結婚したんです」

子供も男の子二人居ますよ、その言葉に俺は衝撃が走った。結婚…だと?


「相手は…?」

恐る恐るツナが尋ねると、ひなは考える素振りを見せた後、人差し指を口に当てた。



「…内緒です」

「ひな、そりゃないよ。気になるよ」

「だって…言ってしまったら、」

ひなはじっと俺を見つめた。


「つまらないじゃないですか」

悪戯っぽく笑った顔とその言葉にひなの、大人の余裕が見られた。



「ボス、今の私…二人の間で揺れてて不安定でしょう?」

「うん」

「温かく見守ってあげて下さいね」

「…もちろん」

「それと、」

今度は俺に顔を向けた。


「…あまり、"私"を虐めないでくださいね?










……リボーン」

「えっ?」

"ポンッ"と音がしたかと思えば彼女の姿は煙で見えなくなった。














「んっ…」

視界がようやく晴れた。あれ…私、ベッドに居たっけ?ソファーに居たのに…。
目の前には、逞しい男の人の上半身。彼は私の上に覆いかぶさっていた。


「っ!キャアーーー!!」

悲鳴をあげると、どたばたと廊下から足音が聞こえた。


「ひな…!!」
入って来たのは見知らぬ男の人。


「てめぇは…コイツからどきやがれ!!」

殺気を放ちながら勢いよく私の上のお兄さんを押しとばす。金髪のお兄さんは絨毯に尻餅をついた。



「良かった…。無事で…」
私は黒髪のお兄さんに優しく抱きしめられた。



「だ、誰ですか?!」

「誰って、俺に決まって…
お前…!十年前のひなか」

「へっ?」

お兄さんは私に向かって優しく微笑んだ。この人…よく見たら…



「…リボーンさん?」

「ああ。十年後のな」

「十年後…?」

まだ混乱状態の私の隣に腰掛けて、一から説明してくれた。


「つまり…私がこっちにきて、この時代の私が十年前に行ったってことですか?」

「そうだ」

よく理解出来ました、と頭をよしよしと撫でられた。


「オイ、俺は分かるかコラ」

さっき私の上に覆いかぶさってた人がリボーンさん(十年後)の反対の隣に座った。…"コラ"付ける人なんて一人しか知らない。


「…コロネロ?」

「そうだコラ!」

わしゃわしゃと豪快に頭を撫でられる。わわっ…髪の毛が大変なことになってる…!


「それにしても、十年前のひなってこんなんなんだな」

「十年後の私ってどんな感じになってるんですか?」
手櫛で髪を戻しながら尋ねる。


「「すげぇ美人だぞ/コラ」」

二人一緒にハモった。



「…お世辞ありがとうございます」

「お世辞じゃねぇぞ」

リボーンさんの手が私の頬に当てられる。


「…俺が愛してる女だからな」

「っ!み、耳元で話さないで下さいよ!!」

前の時代よりも更に色気がムンムンしてるリボーンさん。この人…心臓に悪すぎる!
隣のコロネロはムッとした顔をすると、腕を強く引かれ、コロネロと額が合わさる。青い瞳がじっと私を見つめる。


「…リボーンなんかに靡くんじゃねぇ。俺だけを見てろ」

「…コロネロ」

コロネロの顔が鼻の先まで近づく前に、右へ身体が傾いた。


「お前はもう少し危機感持て」

「…すみません」

「まぁ、それがひならしいけどな」

微笑む様子は十年前のリボーンさんと変わらない、優しさで満ち溢れていた。
ふと、一つの疑問が浮かぶ。


「あのう…」

「ん?」

「…十年後の私、結婚出来てますか?」

「何だよ、"出来てる"って言い方は」

ケラケラ笑うコロネロに私はぷぅっと頬を膨らませた。

「だって…私をお嫁さんにしてくれる人が居るか不安なんですもん」

「心配しなくても大丈夫だ。…むしろ候補者が多くて大変だったぞ」

「それって…!あ、相手の方は…?!」

リボーンさんは考える素振りを見せた後、私の口の前に人差し指を立てた。


「…秘密だ」

大人の仕種に私は分かるくらいに頬が紅潮してしまう。大人二人はそれを見て笑った。…あなた達のせいなのに!


「ま、今お前を悩ましてる奴らのどっちかだな」

「えっ…?」


「「俺かコイツか、ってことだ/コラ」」

「っ…!」

リボーンさんは右の、コロネロは左の頬にキスをしたその瞬間…

"ポンッ"

再び目の前が真っ白になった。












「ん…」

視界が開けるとそこは談話室。いつもの、リボーンさんとボスが居た。


「お帰り、ひな」

「只今です!」

ビシッと敬礼すると、ボスは笑った。


「誰かと会った?」

「…一応、十年後のリボーンさんとコロネロに」

「二人ともどんな感じだったの?」

さっきの、十年後の大人な二人を思い出すと、身体中の熱が増していく。


「…その様子だと何かされたか言われたんだね」

「べ、別に…!」

絶対ボスからかってる!


「なぁ、ひな…」

「は、はい」

「十年後の俺、指輪付けてたか?」

指輪…?


「左手の薬指に」

「あっ…」

そうだ。そこを見ればどちらか分かったのに…。あの時余裕がなかった私はそんなことを考えもつかなかった。


「…どちらか?どちらかって何だよ」

しまった…。声に出てたかも。


「なぁ…教えろよ」

じっとリボーンさんが私を見つめる。もしかしたら、この人が私の未来の旦那様になるかもしれないんだ…



「…絶対言いません!!」

私は急いで談話室から抜け出した。リボーンさんかコロネロのどちらかと結婚する、なんて口が裂けても言えるわけがない。







(…駄々漏れだったね)
(お前も心の中読んだのかよ)
(だってあんな顔してるんだもん。気になるよ。なぁ、未来の旦那様候補者リボーン?)
(…絶対俺が落としてやる)





(只今ー!リボーンとボスに会ってきたよ。二人とも若かったなぁ)
(今の俺の方がカッコイイだろ?)
(何で俺は居ねぇんだよコラ!)
(……二人とも近すぎ。離れて)

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