Love△Triangle
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「あ、獄寺さん」
「何だよひな」
「あそこ…」
スーパーで食材を買い終え、帰ろうとした矢先…出口で抽選くじをやっているのが目に留まる。ガラガラ回したら出てくる型のやつ。
「ああ…レシートにも書いてたな」
「やりませんか!?」
私が目を輝かせて言うと、レシートが手渡された。
「(まだこういう所は餓鬼だよな)…やってこい」
「一等狙って来ますね!」
「いや、一等は流石に無理だろ…」
夢がない大人だなぁ。私は獄寺さんを置き去りに、一人駆けて行った。運が良いことに、並んでいるのは数人だけ。すぐに私の番はやってきた。
「一等ってまだ残ってますか?」
「あるよ。嬢ちゃん、狙う気満々だねぇ」
「勿論です」
レシートを手渡すと、三回回して良いと言われた。
…よし。一先ず一回回してみると、出てきたのは白い玉。もう一回回しても出て来たのは白い玉。
「残念だねぇ。それはハズレだよ」
「まだあと一回あります!」
ふぅと呼吸を整えてからゆっくり回す。来い…!
"コロン"
出て来たのは、ピカピカ光る金色の玉…ではなくて、真っ黒の玉だった。…またハズレかぁ。
"カランカラン"
「大当り〜!!一等が出ました」
手渡されたのは二枚のチケット。よく見れば、最近新しく出来たテーマパークの宿泊込みの券だった。カップル限定と書かれている。
「それで、彼氏とデートにでも行ってきな」
店員のおじさんは意味ありげに私にウインクした。
「ひな凄いね!」
「たまたまですけどね」
嬉しそうに説明した後、俺にチケットを手渡した。
「これで京子さんと楽しんで来てください」
「えっ…?」
「当たった時に真っ先に頭に浮かんだのがボス達なんです。京子さんと滅多に出掛けたりしないじゃないですか」
ニコニコしながら言うひな。本当に思いやりのある子だなぁ。俺はその優しさに泣きそうになった。
「ありがとう。でも、」
ひなの手にチケットを握らせると、ひなはキョトンとした。
「当てたのはひなだからひなが行ってきな」
「そんな…いや、貰って下さい」
「駄目、ボス命令だ。ひなが誰かと行って来ること…良いね?」
俺がそう言えば、案の定ひなは渋々引き下がった。
「でもこれ…カップル限定ですよ?私、行く人居ませんし…」
「居るだろ。アイツらが」
「!!」
目を見開いて分かるくらいに顔を赤くする。
「どっちを誘うか楽しみだなぁ」
「た、楽しみじゃないですよ!」
これ以上此処に居るとからかわれると思ったのか、ひなは執務室から逃げて行った。
「…誘われなかった方はかなりショック受けるだろうね」
そう言いつつも、俺は少し展開を楽しみにしていた。
「はぁ…」
私はベッドに横になりながらチケットを眺めた。せっかくボスと京子さんに、って思ってたのに…。私は自分で使うつもりは更々なかった。だって相手が居ないし。でもボス命令は絶対だ。頭に浮かんできたのはあの二人の顔…
「どっちを誘えば良いのかなぁ…」
でも二人とも仕事忙しそうだし、迷惑がかかるんじゃないだろうかと不安になってしまう。私は深くため息をついた。
"コンコン、コンコン"
「どうぞ」
ゆっくり扉が開かれた。
「!どうして二人が…」
入って来たのはリボーンさんとコロネロ。二人はいつも以上に真剣な顔をしている。何かあったのかな?
「ひな…」
「何ですか?」
「「どっちを選ぶんだ/コラ」」
「…はっ?」
いきなりの質問に私は頭がついていかない。
「ツナから話は聞いた」
「当てたんだろ。カップル用のチケットを」
……ボス、これは私に対するイジメでしょうか。何でわざわざ二人に話してしまうんですか!?ボスに対して怒りの気持ちが沸々と沸いて来た。
「「で。どっちなんだ/コラ」」
いつの間にか、私の両隣に二人は座っていた。…何か十年後に飛ばされた時の状況と似ている。
「「ひな!答えろ/コラ」」
それを悩んでいたのだから答えられるわけがない。しばらく思考を巡らすと、ある良い案が浮かんだ。
「…じゃんけんしてくれませんか?」
これなら平等性があるし、私が選んだ訳ではないことになる。そうお願いすると、二人は殺気全開でお互いを睨んだ。…じゃんけんでこんな戦闘態勢になるなんて初めてだ。
「「(絶対負けられねぇ…!)…最初はグー、じゃんけん、ポイッ!!」
コロネロが出したのはグー。リボーンさんが出したのは…
「わりぃな。俺の勝ちだぜコラ」
リボーンさんが出したのはチョキだった。
「嘘だろ…」
この世の終わりのような顔をするリボーンさん。彼からは負のオーラと絶望感しか感じられない。すると突然、目の色が変わった。
「…てめぇ、一発撃たせやがれ」
「掛かって来いコラ!!」
「ま、待って下さい!!」
銃を手にして立ち上がり、今にもトリガーを引きそうなリボーンさんに慌てて抱き着く。
「お願いしますリボーンさん!それだけは止めて下さい」
「…ひな、退け。コイツは一度殺さねぇと俺の気が済まねぇ」
「お願いします…!」
私がいくら言ってもリボーンさんは銃を下ろしてくれなかった。…こうなったら、
「リボーンさん…銃下ろさないと嫌いになりますよ?」
「!!」
「誰かを傷つけるような人は大嫌いです」
彼の目を見てはっきり言うと、リボーンさんは静かに銃をしまってくれた。
「…嫌わないでくれるか?」
「はい、勿論です」
「…また今度、俺と出かけてくれるか?」
「喜んで」
笑ってそう言えば、リボーンさんに強く抱きしめられた。
「…コロネロに何かされそうになったら俺のこと呼べよ。直ぐ駆け付けるから」
「はい、分かりました」
リボーンさんは私をそっと離すとコロネロを睨み付けた。
「変なことはするんじゃねぇぞ」
「しねぇよコラ(…多分)」
「…本当かよ」
疑いの眼差しを向けながらもリボーンさんは渋々了解してくれたみたいだ。
出発は三日後。これから何が起こるかも知らず、私は少しだけ楽しみにしていた。
(でもさコロネロ、仕事は…?)
(当然休むに決まってんだろコラ!)
(…休んで大丈夫?)
(代わりに俺が行くぞ)
(大丈夫だ。アイツらなら許可するだろ(せっかくのチャンスをリボーンに譲るかよ…!))
(チッ…)