Love△Triangle

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「……」

「…大丈夫?」

「…見りゃ分かるだろ」

ひなが出掛けて行ったのは今朝。あれからリボーンはどこか落ち着かない様子。こんな奴が最強ヒットマンとは…他の人から見たら信じられないだろう。リボーンは赤のマッキーでカレンダーの今日の日付に×印を付けた。その二つ隣にはくるくると三重丸がしてある。


「…アイツが襲われてねぇかすげぇ心配だ」

「大丈夫でしょ。コロネロだってひなに嫌われたくないんだし、無理矢理することはないだろ」

「分かんねぇぞ。あの馬鹿は押しが強いからな」


その代わりひなは結構ガードが固い気がするけど。仮にもしこの三日間の間にひなとコロネロがくっついてしまったらリボーンはどうするんだろうか。本人は余裕がないみたいだから聞くに聞けないけど。


「…ひな」

リボーンの憂う顔に月の光が差していた。















「うわぁ…」

宿泊先はかなり広い部屋。高級ホテルのスイートルームみたい(泊まったことないからよく分かんないけど)。


「疲れたぞコラ…」

元気なくコロネロはソファーに倒れこんだ。よっぽどあのアトラクションが堪えたらしい。


「大丈夫?先にお風呂入ってきたら」

「…いや、お前先に入って来い」

「そう…分かった。じゃあ入って来るね!」

ボストンバッグからお風呂セットを取り出して私はバスルームへと向かった。










「ハァ…」

男なのに情けねぇな俺は。ソファーから身体を起こすとバスルームからは鼻唄が聞こえてきた。…アイツどんだけでけぇ声で唄ってるんだよ。元気良いな…。
キョロキョロと部屋を見渡すと、此処はかなり高い部屋だと分かる。数回だけスイートルームに泊まったことはあるが、それに劣らなず、むしろ勝っているかもしれない。


「ん?」

窓側にあるベッド…サイズはデカイが一つしかない。…まさかあそこに二人で寝ろってか?部屋をウロウロして他にないか探してみるが、結局見つからなかった。


「…マジかよ」

有り得ねぇ。俺を生殺しにするつもりかよ。ふと、リボーンに釘指されたことを思い出す。


『変なことはするんじゃねぇぞ』


分かってる。俺だってアイツの泣き顔は見たくないのだから。仕方ない…俺はソファーで寝るか。




「コロネロ、次どうぞー」

「っ…!」

風呂から上がってきたひなはショーパンにTシャツ。髪からはたぽたぽと雫が垂れていて、風呂に入って来たからだろう、頬はほてっていた。


「ん?どうしたの」

「…ちゃんと頭拭けよコラ」

「分かってるって」

危ない、危ない…。なるべくひなを見ないように、俺は足早にバスルームへ向かった。






化粧水と乳液を付け、髪の毛をドライヤーで乾かし終わった私は、ソファーに座りながら足をぶらぶらさせていた。コロネロまだかなぁ。トランプやろうと思ってるのに…。ふと、ベッドの近くのドレッサーには何かのお菓子みたいな包みが数個置いてあるのが目に止まる。


「なんだろこれ…?」

手に取ってみると、お菓子じゃなかった。まさか、これ…


「何やってんだコラ」

「!び、びっくりさせないでよ」

突然後ろから声をかけられ、慌てて手に持っていたものを元に戻す。


「…あのさ、何で上着てないの」

「暑いからに決まってんだろコラ」

「…ちゃんと着てよ」

「何だ?恥ずかしいのか」

ニヤリと笑うコロネロを見て、しまったと後悔した。近付いてくるコロネロを直視出来ずに明後日の方向を向く。



「…ひな」

「っ…、耳元で話さないでよ!」

後ろから抱きしめられ、彼の顔は私のすぐ隣。服を着てないから、コロネロの逞しい筋肉をそのまま感じる。



「…ん?」

「そ、それは駄目!」

さっき私が手にしたやつにコロネロが手を伸ばそうとしたから慌てて取らせないようにした。でもコロネロの方が少し速くて一つ抜き取ってしまう。



「……これ、コン「それ以上言うな!!」

コロネロの口を慌てて手で覆う。しばらくして手をそっと離す。



「…まさかお前が持ってきたのかコラ」

「そんな訳ないでしょ!?最初から置いてたの」

「冗談だ、冗談(…俺も持ってるけどな)」

きっとホテルの人が気を利かせてくれたんだろうけど、私にとっては大きなお世話。


「まぁ安心しろコラ。お前が同意してくれるまで使わねぇから」

「…そりゃどうも」

コロネロは気を遣ってくれている。多分、この前基地で襲われかけた時に私が泣いたからだろう。
気まずい雰囲気を変えようと思って私はコロネロの首のタオルを取って代わりに座らせた。


「ちゃんと拭かなきゃ風邪引くよ?」

「…お前は俺の母ちゃんかコラ」

「こんな手のかかる子供が居たら大変だなぁ」

鏡に写るコロネロは少し私を睨んできたから、私は少しだけ力強く髪を拭いてあげた。ハゲるから止めろと叫ばれ、すぐ止めたけれど。



「あ、コロネロ。ベッド一つしかないけどさ、私がソファーで寝るから使っていいよ」

「何言ってんだコラ。ソファーで寝る役目は俺だろ」

「今日死にそうになったのは誰だっけ?」

「お前な…」

それからどちらも譲らず、結局じゃんけんで決めることにした。私はパー、コロネロはチョキ。ベッドで寝るのはコロネロで決まりだ。コロネロは大分不満そうな顔をしたけれど、もう決まったことだ。


「じゃあ枕一つ貰っていくね」

大きなサイズのベッドに上がり込み、枕を一つ胸に抱く。


「オイ」

「えっ……キャッ」

いつの間に上がってきたのか、目の前に居たコロネロに私は勢いよく押し倒された。


「…襲わないって言ってたくせに」

「お前がこのベッドで寝るなら襲わねぇ」

…はい?


「別に昔はよく寝てただろ」

「…昔と今じゃ違うでしょ?」

「安心しろ。俺はお前の泣き顔は見たくねぇ」


疑わしかったけれど、真剣なコロネロの表情を見ると、信用出来る気がした。



「…襲われそうになったらリボーンさんに連絡するからね?」

「…分かった」


私から離れ、コロネロはベッドサイドのランプ以外の電気を全て消した。
私はなるべくコロネロから離れようと、端すれすれに入った。


「そんなとこじゃ床に落ちるぞコラ」

「っ…!」

身体を強い力で引っ張られ、私はコロネロの胸の中にいた。


「良い抱き枕だなコラ」

「…私は枕じゃないのに」

「昔もよくこうして寝たな」

「…うん」


今もだけれど、慣れない私は何時も心臓をドキドキ高鳴らせていた。でも安心出来て、私はいつの間にか眠りに就いていたものだ。でも途中で変態な誰かさんのせいで再び起こされることになっていたけど…


「今エロいこと考えたろ」

「…同じにしないで。年中発情期さん」

「そんなに襲われたいのかコラ」

「…すみません、勘弁してください」

下らない会話をしながら私達は笑い合う。何だか昔に戻った感じ。温かくて、身を委ねられて、幸せな気分で居られる…コロネロの隣はそんな場所だった。





「コロネロの腕の中が1番落ち着くかも…」


私は慌てて口を閉じる。つい心で思っていたことが出てしまった。腕の力が強まり、恐る恐るコロネロの顔を見れば、滅多に見せない優しい顔。




「ありがとな」

「……どうも」


羞恥で早く寝ようと無理矢理目を閉じる。
眠りについた私が見た夢は、誰かに温かい腕でずっと抱きしめられている…そんな幸せな夢だった。









(…すげぇ幸せそうな顔して寝てるな)
(んっ…)
(やべぇ、起こしたか?)
(…私も、好き)
(?!…誰の夢見てんだ)

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