Love△Triangle
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今日は昨日のことを反省してジェットコースターは程々に、スライダーやゴーカートなど緩いものに乗った。コロネロの顔色も治ったみたいで一先ず安心だ。
今はお昼ご飯。私はボンゴレスパゲティー、コロネロはカルボナーラとミニサイズのピザを頼んだ。
「ねぇ、最近キリ君どうなの」
「アイツは真面目にやってるぞコラ。相変わらず減らず口だけどな」
苦笑いするコロネロ。キリ君とコロネロは似た者同士だ。素直じゃないけど、本当は熱意があって真っ直ぐなところとか。
「ひなにも会いたいってよく言ってるぞコラ」
「本当に?」
「ああ。他の隊員達もだけどな」
それを聞いて嬉しくなった。隊員達の顔が目に浮かぶ。
「…私も皆に会いたいなぁ」
「お前の隊服は置いてあるから何時でも来ていいぞコラ」
「うん。ありがとう」
「お前が来てくれたら奴らの志気も上がるしな」
「コロネロ長官は怒ってばかりだもんね?」
「…隊員達に勝負吹っかける負けず嫌いは誰だよ」
「それ私のこと…?」
当然だと頷くコロネロの足を踏むと、悲鳴をあげ、それが可笑しくて笑っていると思いっきりデコピンされた。そんなことを繰り返して笑い合う私達は、端から見たら精神年齢小学生にしか見えないだろう。
それから他愛ない話をし続け、午後からはまずミラーハウスに行くことにした。
「んー、どっち行こうかな?」
とりあえず適当に左の道を選んで進んでみたけれど、行き止まりになってしまう。
「…コロネロもう着いたかなぁ」
コロネロは野生の勘凄そうだし、ゴールしていても可笑しくない。こんなことなら勝負するんじゃなかったかも…
『ひな、勝負だコラ』
『別に良いよ。コロネロが負けたらキャラメルポップコーンね』
するとコロネロはニヤリと笑った。悪寒が走る。
『じゃあ…お前が負けたら、お前からキスな』
『…はぁ?!何よそれ?!』
『先に掛けてきたのはそっちだろコラ。じゃあな』
『ま、待ってよ…!』
私の制止も聞かずにコロネロは走って行ってしまった。それから少し経って私も走り出した。
タイム制とはいえ、コロネロとの差は一分くらいしか変わらない。早くゴールしなくちゃ…!私はさっきの道を右に行ってみた。
「ん…?」
誰かが立ち止まって道を塞いでいた。誰だろう…
「あの…」
遠慮気味に肩を叩くと、その人は振り返った。
「やっと会えたね」
振り返った彼は、昨日私が擦れ違った時に違和感を感じた男の人。
「…誰ですか」
じりじり近付いてくる彼に警戒しながら一歩ずつ下がる。
「忘れたの?酷いなぁ」
そう言いながらもニコニコは絶やさない。
「………誰ですか」
「仕方ないか。忘れたみたいだし。俺だよ、俺」
…この人の声、何処かで聞いたことある気がする。
「思い出さないの?…ひな」
「…どうして私の名前を?!」
「俺だよひな。
………カイジだ」
「!!」
私が目を見開き驚いている間に一気に間合いが詰められ、抵抗する間もなくカイジに抱き寄せられた。
「…ちょっと眠っててね」
「っ…!」
白いハンカチを口に当てられ、私は次第に意識が遠退く。…どうしてカイジが?頭を回転させようとしても上手く機能しない。
「(……コロネロ)」
最後に浮かんだのは彼の顔だった。
「…遅ぇなアイツ」
もう俺がゴールしてから30分は経つ。一つしかない出口で待っているものの、ひなの姿は現れなかった。
"ブー、ブー"
バイブ音が鳴り、携帯を開けば綱吉からの電話。
「何だよ綱吉」
『コロネロ!大変だ!!』
「何が『ひながさらわれたみたいなんだ!』
意味が分からない。だって彼女はまだミラーハウスの中に…
『モンドールファミリーから映像が送られて来たんだ!"女はさらった。返して欲しければ、俺達との同盟破棄を止めろ"って』
「モンドールファミリーだと…?!」
あのファミリーはひそかに人体実験をしたり、麻薬や新薬を開発したりしている奴らだ。その情報を掴んだボンゴレは、結んでいた同盟を破棄したのが先月のこと。
『だから、』
綱吉の言葉が途切れた。
「綱吉…?」
『…オイ、筋肉馬鹿。聞いてるか』
「リボーン!」
電話の向こうのリボーンは完全にキレているのが伝わる。
『…何でお前が一緒に居てひなが連れてかれるんだ』
「…わりぃ」
『今お前を殺したくて仕方ねぇ』
リボーンがキレるのも無理はない。部下であり、愛する女がさらわれたんだ。当然だ。俺は強く唇を噛み締めた。
『…まぁお前をシバくのは後だ。今からお前を迎えに行く。アジトに乗り込むぞ』
電話は一方的に切られた。突然…周りの土埃が舞う。頭上からは大きなプロペラ音が聞こえた。
「早く乗れ」
運転席から顔を出したリボーンからは怒りしか見られない。俺が駆けて左の席に乗り込むと同時にヘリは離陸した。
「んっ…」
目を覚ますと、私は両手に手錠がされ、椅子に座らされているのが分かった。
「目覚めたみたいだね」
「…カイジ!」
カイジはゆっくりと私に近付いてきた。
「どうして…こんなことを…」
「俺、モンドールファミリーの次期ボスなんだよ」
「!モンドールファミリーって…先月同盟破棄した…」
カイジは頷き、私の前の椅子に座った。
「そう。それにボスがご立腹でさぁ…どうすれば機嫌直るか考えたんだ。それでひなを人質に脅そうって」
「…まさかあの抽選くじも」
「流石ひな。その通りだよ」
あのおじさんの意味深な笑いはこういうことだったのか。…最初から策略に嵌まっていたって訳ね。
「ひなからコロネロさんが早く離れないかなって思ってずっと見てたんだ」
「…ミラーハウスで私達が離れてチャンスだと思ったのね」
「そう」
カイジはあの、孤児院に居た時の面影は殆ど残っていない。茶髪の髪の毛も金髪になっていたり、身長もかなり伸びている。昔は無愛想な顔に、作り笑いが張り付いている。
私には理解出来なかった。あの日、カイジを含めた子供達はマフィアを憎んだはずなのに…
「…どうして?カイジはマフィアが嫌いなんじゃ…」
「そうだよ。大嫌いだ。でもね」
椅子から立ち上がると、私の前にしゃがみ込んだ。
「ひなを…ひなを奪ったボンゴレ…コロネロさんの方がもっと嫌いだ」
「!?…あんなにコロネロに懐いていたのに?」
「それは上辺だけだよ。心の中では大嫌いだったさ。あんな人」
私は手を振り上げかけたけど、手錠のせいで腕が上がらない。
「なんでそこまで…」
「まだ分からないの?相変わらず鈍感だなぁ」
「何言って、」
口が閉ざされた。私は必死に抵抗したけれど、頭の後ろに手を回され、離そうとしない。私が苦しい顔をしていたからか、ようやく離してくれたのは暫くした後。
「はぁ…はぁ…、どうして…」
「好きだからに決まってんだろ」
「えっ…?」
頬に手が添えられた。
「コロネロさんが現れる前から。いや、ひなと初めて会った時から…ずっと好きだった」
数年ぶりに再会した彼が口にしたのは、もう戻れない…あの頃の悲痛の想いの告白だった。
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カイジ君はオリキャラ
孤児院の年長組の一人。
あと数話はでしゃばります。