ごちゃまぜ

□恋の駆け引き
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「うりゃっ!!」

ダンッ!勢いよく相手の手を机にたたき付ける。


「勝者、なまえ」

相手の男子生徒は悔しそうに私を見た。


「これで19勝目か」

「流石空手部主将ね」

「まぁね!」

腕の力こぶを見せるようにすると、ルーチェは楽しそうに笑った。


「ったく…お前は」

ラルは呆れたように呟いた。


「あと対戦してないのって誰かしら?」

「あいつらじゃないのか」

ラルが顎で指したのはサボり魔二人組。奴らが一番強敵だろう。


「リボーン、コロネロ!ちょっと来て」

ルーチェが手で招くと、二人は何だよと言いつつもやってきた。流石クラス会長様だ。


「私と腕相撲しろ!」

「…ハァ?」

意味が分からないという顔をする二人にラルが説明する。


「なまえは今クラスの男子と腕相撲してるんだ。もうお前ら以外の奴らには全員勝ってる」

「流石怪力女だなコラ」

「筋肉馬鹿に言われたくないけど?」

「んだと?!」

すぐキレる単細胞は放っておこう。私はリボーンに顔を向けた。


「リボーンはどう?やってみない?」

「いいぞ」

「本当!?」

リボーンは腕を捲りながら私の前の席に座った。


「なぁ、何か賭けないか?」

「別にいいよ。じゃ、私はジュース一週間分ね」

「いいぞ。なら俺は…」

机に前乗りになって私の耳元で囁いた。


「………」

「!」

リボーンの顔を見るとニヤリと笑っていた。…コイツ。


「どうだ?」

「…いいよ。やってやる!」

空手部主将としてプライドがある。だから逃げたくはない。


「何て言ったんだコラ?」
「「秘密/だぞ」」

リボーンの後ろに立ったコロネロは訝しげに私達を見た。


「じゃあ二人ともいい?レディー…ファイツ!」

ルーチェの合図で闘いが始まった。今までの男子共はスタート直後に瞬殺出来る奴も多かったのに、流石喧嘩最強なリボーンだ。私達は一歩も譲らない。


「…なかなかやるな」

「…リボーンもね」

賭けが掛かっているから負ける訳にはいかない。私はじりじりと少しずつリボーンの手を傾けた。もう少し……











「勝者、なまえ!」

勝ったなまえはホッとしたように一息ついた。


「じゃあジュース一週間分よろしくね」

「チッ…仕方ねぇ」

リボーンは立ち上がり、俺に耳打ちした。


「お前負けんなよ?」

「…分かってる」

俺はなまえの正面の椅子に座った。なまえはじっと俺を見つめていた。


「…コロネロが最後か」

「不足ないだろ?」


空手部主将と柔道部主将。空手部と柔道部は元々仲が悪く、必然的に俺達の相性も最悪だ。なんせお互い口が悪い。ああ言えばこう言うの繰り返しで、ラルやリボーンがいつも仲介に入ってくる。でも本当は…



「なぁ、賭けないか?」

「何を?」

「勝ったら負けた方に命令出来るっつーのは」

俺は聞く前から分かっていた。コイツはプライドが高いから勝負や賭け事からは絶対に逃げねぇってことを。

「いいよ。痛い目見ても知らないけどね」

「それはこっちの台詞だコラ」

態勢を整え、俺達は睨み合う。


「いい?レディーファイツ!」

一気に傾けるつもりだった。でも流石空手部主将。全く動じなかった。俺が少しでも傾ければなまえは負けじと戻してくる。なまえが少しでも傾ければ俺は負けじと元に戻す。



「…コロネロは手加減してないよね?」

「…するわけねーだろ」

「リボーンは最後、気緩めてたからさ」

どこまでも紳士だよね、なまえはそう言って笑いながらも力を緩めない。


「…なぁ、さっき何て言われたんだコラ」

「誰に?」

「リボーンだ」

「っ…!」

一瞬動揺したなまえの隙をついて畳み掛けようとしたが、ぎりぎり最後までいかなかった。


「諦めたらどうだコラ?」

「まだ勝負は終わってない…!」

盛り返そうとするなまえ。一方俺はチャンスを逃がすものかと力を振り絞る。


「あ、そうだ。さっきリボーンに言われたこと教えてあげよっか?」

なまえは悪戯っぽく笑った。



「もし私が負けたらね…










『お前の大好きなコロネロに告れよ?』って言われたの」

「!?」

目を見開き、衝撃を受ける。


「はい、終わり」

優しく机にコツンと俺の手はつけられた。


「じゃあ私から命令していいんだよね?」

「あ、ああ…」

今だに放心状態の俺は適当に返事をした。正面に座るなまえは畏まるように座り直した。


「もし、私の事が好きだったら私と付き合ってくれませんか?」














「…それは命令じゃねーなコラ」

「えっ?」

俺はしっかりと前を見据えた。



「俺がもしお前に勝った場合は、"俺と付き合え"って言うつもりだったんだぞ?」

「うそ…」

目を真ん丸にするなまえ。


「嘘じゃねーぞコラ」

「キャッ!」

机を押しのけ座っているなまえに覆いかぶさるように抱きしめた。


「コロネロ…」


「俺はお前が好きだ。だから俺と付き合え」


「…命令出来るのは私なのに」


「あんな反則技使ったんだぞ?お前の負けだ」


「何よそれ!私の勝ちですぅー」


「反則負けだって言ってんだろコラ!」


「腕相撲に反則はないけど?」


俺達は何時ものように言い合いを始めた。










「…お前ら、廊下に立ってなさい!!」

いつの間にか授業は始まっていたらしい。クラスの連中は皆席に着いてニヤニヤしていた。



「もう…コロネロのせいだからね」


「そう言いつつも俺のこと好きなんだろ?」


「!!」

見て分かるくらいに真っ赤に染まったなまえ。俺は笑いながらもなまえに優しく口づけた。











(ハァ、反省文かぁ。部活に行けない…)
(俺は嬉しいけどなコラ)
(どうして?)
(なまえと居られるだろ?)
(っ!そんな大声で言わないでよ馬鹿!!)



(アイツらくっついたのはいいが…)
(コロネロが調子乗ってるな)
(後でしめるか)

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