びーえる
□乱れた予感(前編)
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「…すげーな…何か、真っ昼間からこんな頑丈な鉄柵が、あちこち付いてるなんてよ?」
とある休日。俺、上野佑哉(ウエノユウヤ)は、幼馴染みの瑠吹多紀(ルスイタキ)と共に、学校へ来ていた。
場所を知っているという生徒に聞いて、案内されたその問題ある学校は、流石に不良学校と噂されるだけあって、不気味な雰囲気を放っていた。
「…うん…凄い学校だよね。生徒が脱走したりとかするのかな?でも、困ったね。どうやって中に入ろうか?」
ここは隣町。俺達が住んでいる所から、かなり離れている。
「余程学校側が堕落してるか、生徒がその上をいったかだな」
真っ黒な正門を前に、俺達はぐるりと周囲を歩いて見回した。
「佑哉!あれ、柵が壊れてる」
多紀が指差す壁を見上げると、障害物の無い登れそうな高さだった。
「よーし、ここから侵入してやるぜ」
中は静まり返っていた。教室も、机や椅子は目茶苦茶。黒板や教壇も言い表せないくらい、悲惨な状態になっていた。
「これはぁ…こんな中で授業できんのかよ?そもそも、先生が居るかどうかも怪しい所だな…」
「…毎日の授業中を想像したら恐いね…」
「今日はもう、生徒がいないからいいけどな」