びーえる


□愛したい 愛せない
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「…あ?早退した?…マジかよ、はーっ‥」

放課後。俺は阿紀のクラスの生徒を呼び止め、教室の入口に居た。

「…上野君って…確か、瑠吹君と幼馴染みなんだってね?」
「ま、まぁな…。それがどうかしたのかよ?」

詳しい事を一々説明すると、長くなるだろうし、第一…ヤられたんだ、なんて死んでも言える筈がない。

「…ここだけの話だけど、瑠吹君…隣町の学校で不良に目を付けられたらしいんだ…。イジメかも知れないって皆が噂してて…」

その生徒は、小声で俺にだけ聞こえるように話してくれた。初耳だった。阿紀がそんな事になってたなんて…いや。まさか…

「…その隣町の学校…不良達で溢れてるって評判の…?」

学校とは名ばかりで、ここよりも問題が深刻な、隣町の学校…。
俺達のクラスで、沢口ら不良どもが生意気なのは良く知ってるが…まさか、な…。

「…上野君?」
「……‥っ!!」

俺は、そのとんでもない発想を頭の中から追い出した。

「どうかしたの?…やっぱり、瑠吹君の事が心配になった?」
「あ、あぁ…まぁな」

俺は適当に答えて、教室を出た。急いで自分の鞄を担いで、学校をあとに走った。

「阿紀のヤツ…目を付けられたんじゃなくて…」
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