デンヒョウ

□有利で不利
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「あの、僕んちにメイドはいません。」

「うん、知ってる。」

「メイド服って「お呼びですか?ご主人様。」とか言う女の子が着ているものですよね。」

「そうだ。」

「なら、人違いです。」

「そんなことはない。」


何故こんな下らない会話が続いているのかと言うと、


「じゃあ何でこんなものがあるんですか!?」


こんなもの、と表された紙袋の中には綺麗に畳まれたメイド服が入っていた。


「そりゃあ勿論、着ても―」

「あー聞きたくないです!!」


僕は耳を塞ぎ必死になって言葉を阻止します。


「大丈夫、絶対似合うって。」

「そんなことを言われても嬉しくない。」


男なのにあんなものが似合うなんて言われたくない。


「…ならさ、俺とバトルして負けたら着ろよ。」

「嫌です。」

「え〜。んじゃあ俺ピチューで戦うからさ。」

「あれ、デンジさんピチューなんて持ってたっけ?」

「うん。」


いや、持ってないですよね!?しかし彼がどう出るかは知らないがいないとなればバトルが出来ない。
よって自然と僕の勝ちが決まるようなもの。


「…まあ、別に良いよ。」

「よし、んじゃあやろうぜ。」


そう言って場所を移動したのだがそれが間違っていた。
今日は生憎の雨。
僕は勿論、ズガイドスを出したが雨のせいか元気がなかった。
それに加え、


「いけーでかいピチュー。」


でかいピチューって何?そうしてボールから飛び出してきたのはピチュー…ではなくライチュー。
ライチューも少々困惑した様子だった。


「ピチューじゃないんですか?」

「…まあ別に元はピチューだったんだから良いだろ?よし、雷だ!!」

「え!?何言って…って、ちょ、まっ―」


突っ込みが追い付かない…。



――――…



「んじゃ、楽しみに待ってるぜ。」


結局僕が指示をする前に終わった。
何が何だか分からないまま技を決められたズガイドスは地面に倒れていた。
ひとまず手当てをしてボールに戻した。
こんな反則をしておいて勝った気になっているなんて、と思うが時すでに遅し。




有利で不利




モンスターボールにごめん、と一言呟き重い足取りで家に入った。





20120620

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