ダイミク

□トクサネからルネへ
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「ミロカロス?…どうかしましたか?」


自室で書き物をしていたところ、外で水浴びをしていたミロカロスが窓をつつき私に合図を送っていた。


「桜…ですか?」


窓を開けると桜の付いた木の枝を差し出された。
しかしルネシティには桜はなかった筈だ。
四方を山に海に囲まれ、他と隔離されたこの場所では春を感じる手立ては温度変化でしか無いだろう。
最も、このジム内では四季を感じることすら不可能に近い。
それをどこで…?


「ミロカロス、これをどこで?」

ミロカロスもよく分からないようでいつも垂れている眉が一層垂れていた。
仕方がないので一応、花びんを用意しそこに差してみる。

すると、今まで気づかなかったが木の枝に縦に四つ折りされた紙が巻き付けられていることに気づき捲ってみた。
そこには名前は無かったが見慣れた字で

―トクサネの桜は今が見頃だよ。―

と書いてあった。



トクサネからルネへ




「…明日でもみんなでお邪魔しに行きましょうか。」


ミロカロスに問いかければ嬉しそうに声を上げた。

20120503

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