デンヒョウ

□絶対に負けません。
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※ヒョウタは殆ど出てきません。


「こんにちは。」

「………こんにちは。」


初めてのジム戦の相手だったヒョウタさんの笑顔に僕の初恋は奪われた。
僕は毎日行く勇気は無かったためたまにヒョウタさんの元を訪れて話をした。
行く度、彼は僕の話を楽しそうに話を聞いてくれていて凄く嬉しかった。
そんな中、僕のジムへ挑む旅もとうとう最後となり8人目…デンジさんとのバトルとなった。


「…君がコウキか?」

「?、どうして分かったのですか…?」

「ヒョウタから聞いた。」

「!?」


彼の名前が出てきた途端、僕の心臓はドキリと大きく跳ねた。


「確かに可愛い…妬けるな。だが、絶対に渡さねぇ。」

「あの…話がよく分からないのですが…。」

「お前にはヒョウタは渡さない。…さぁ、バトルをしようぜ。」


ニヤリ。
話の最中は見せなかった不敵な笑みが合図となりバトルが始まった。


――…結果なんて分かりきっていた。
あんな話をされた時点で既に終わっていたのだ。
目の前に倒れている傷だらけのゴウカザルをボールへ戻す。


「楽しかったぜ。強くなってまた来いよ。」


彼を見れば勝ち誇った笑みを浮かべていた。
悔しい…。


「………けません。」

「?」


未だによく分かっていないデンジさんを尻目に走ってジムを出た。
ポケセンでポケモンを回復させると222番道路まで自然と足が進んでいた。
あの話を聞くところによるとまだあの人の手には渡っていないようだ。
ヒョウタさんは渡さない、それだけを思い草むらを進んだ。



絶対に負けません。



―シンオウニュースです。只今、222番道路でエレブーのみが瀕死の状態で見つかると言う異常事態が発生しました。地元の釣り人の話によると草むらでバキバキといった音と火花、そしてハンチング帽を被った少年が頻繁に目撃されているため炎、格闘ポケモンを率いた少年の仕業とみて現在捜索中です。―


20120902

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