その他

□大人の彼、子供の僕
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海も川も山も全部なくなって真っ平らになってしまえばきっと直ぐにマツバさんに会えるのにな。僕も随分と目茶苦茶な考えを持つもんだ、なんて感心してみたがいくら考えたってマツバさんに会えるわけじゃない。


「会いたいです。」


我慢できずに電話をすると案の定聞きなれた声が聞こえてくる。しかし電話をかけたって気休め程度にしかならないことは知っていた。でもかけずにはいられない。それほど彼に依存しているのかもしれない。


「うん、僕も。週末待ってるよ。」


彼の声が受話器越しに耳に入って何となく心地よい。穏やかでしかし一つ一つの言葉がしっかりしている声には大人の持つ余裕みたいなものが感じられた。
切った後も受話器から流れる電子音を聞きながらさっきまでの余韻に浸る。やっぱりマツバさんはかっこいいなと思う反面、我慢の出来ない子供のような僕がくっきりと浮き彫りになりとても情けなく感じ手に持った携帯を握りしめた。



シンドローム



何だか僕だけ好きな気がして心配になるんだ。

20121211

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