ミナマツ

□当たり前、でもなんか照れる
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「うん、分かった。気を付けて帰ってきてね。」


受話器を置きため息をついた。
スイクンが大好きなのは分かるけどもう少し自分自身に気を使ってほしいと思う。
彼によると雨のなかスイクンを全力で追いかけていたら泥に足をとられ水溜まりに頭から突っ込んでいったらしい。
ミナキくんはいつになっても子供だな…と呟きながらこれから来る彼の為に風呂と着物を用意した。

―――


「マツバ、すまないな。」


パタパタと廊下を駆け足で移動し玄関のドアをあければそこには全身泥まみれなミナキくんの姿。
いつもは鮮やかな紫色をしたスーツも泥のおかげで茶色に染まっている。


「全く…こんなにして。お風呂を沸かしておいたから入るといい。着替えも着物だが用意しておいたからそれ着て。」


彼を風呂に押し込んだ後、居間にいたポケモンたちを呼びミナキくんのポケモンの世話を頼んだ。
僕はミナキくんのスーツの洗濯をしている。


「こんなことまでさせて悪かったな。」


風呂から上がったようで着物に身を包んだミナキくんが立っていた。
少々細身な彼にはあまり似合っていない。


「よく言うよ。あれだけ泥まみれなで来ておいて。」

「だから、ありがと。」

「…!!…君が僕にお礼なんて気持ち悪いな。止めてよね。」

「悪かったな気持ち悪くて。」


それをいうなり彼は居間へ行った。



当たり前、でもなんか照れる



ありがとう、と言われ口ではあんなこと言ったけど実際はとても嬉しかった。

20120324

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