慈しみ深き
□第一章
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とある高校の体育館。
独特の匂い、飛び散る汗、運動部員達の掛け声…
どれもこれも舞にとって、かけがえのない宝物だった。
そんな舞も、女子バド部の部員でありキャプテンだった。
後輩たちを引っ張っていくのは大変だ。
毎日の練習メニューを考え、バド部全体の実力アップを図るのは、到底一人では無理だと思っていた。
しかし、舞と同じ年に入部した同輩たちは、実力にも恵まれていて、その教えを受けた後輩たちの技術も上がってきていた。
それに皆が舞を助けてくれていた。
でも、舞はその事に気づいていなかった。
とても幸せだった。
この幸せがずっと続ければいいのにと願っていた。