慈しみ深き
□第一章
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4月上旬――
新しい学年が始まろうとしていた。
舞の学校では、毎年クラス替えがあり、これで一年の明暗が別れてしまう。
新しいクラスがかかれた大きな紙の前で、舞は嫌な顔をしながら自分の名前を探していた。
(あ、4組か…。)
自分の名前を見つけるとすぐにある二人の名前を探す。
(優と唯奈は…。あっ!!!)
舞の顔にやっと笑顔が見えた。
(今年も一緒だ…!!)
優と唯奈は、舞が心から信頼している友達だ。
友達は多い舞だが、この二人以外とはあまり行動しない。
なぜなら…
舞は少し人間不信のところがあり、自分が決めたラインを越えた人にだけしか親しくしないからだ。
だから優と唯奈以外とはあまり親しくしたくなかった。
(これで今年も大丈夫。幸せな一年にしてみせる!!!)
舞は心のなかで固く決意を呟いた。