慈しみ深き
□第一章
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教室に入ると、早速唯奈が話しかけてきた。
「舞〜!!!よかったぁ!!今年も同じクラスだねっ」
と、柔らかい微笑みを向けた。
唯奈は勝ち気で男勝りな舞とは違って、見ているだけで癒され、守ってあげたくなるような雰囲気の子だった。
当然、男子からの人気も高く、1ヶ月に2回は告白されているらしい。
「唯奈〜!!!よろしくっ」
舞は思わず唯奈に抱きついていた。
すると、舞の後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「おいおい、俺の事はスルーか?」
びっくりして振り向くと、優が立っていた。
「あっ優!!久しぶり〜。相変わらず影が薄いなっ」
舞が優の背中をバンッと叩く。
唯奈もジャンプしながら優の頭を叩く。
「痛っ、お前ら、やめろ」
優は影が薄く、ひ弱な印象だが、一応男子バド部のキャプテンだ。
「とりあえず今年もよろしくな」
「うん、よろしく」
「楽しい一年にしようね」
改めて挨拶をすると、なんだか可笑しくなってきて、思わず吹き出してしまった。