慈しみ深き
□第一章
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チャイムが鳴り、放送で体育館に行くよう指示される。
これから始業式だ。
体育館に向かう途中、去年同じクラスだった子から声をかけられた。
「舞〜!!!久しぶりっ。今年は同じクラスじゃないんだね〜。私ショックだよ…」
絶対思ってないな…
思わずクスッと笑ってしまった。
だけどそれを見せずに満面の笑みで答えた。
「私もショックだよ〜。でも、来年もあるからね!!!」
そう言うと、彼女は安心したのか、前を歩いていた友達の所に戻っていった。
「はぁーっ」
知らず知らずの内に、舞は疲れたかの様に長い溜め息をついていた。
そんな舞を唯奈が諭すように言った。
「あのね、舞。誰も彼も舞の事を本当の友達じゃないなんて思ってないよ。今の子だって去年ずっと舞の事を慕っていたじゃない」
そんな唯奈に舞は何も答えなかった。
いや、答えたくなかったのだ。
ただ、唯奈に気付かれないように唇を軽く噛んだ。
(唯奈…。ありがとう。でも、あなたの言うことに私…)
納得出来ないの――