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□私と彼の新婚日誌
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私が、エイジさんと同じ姓を名乗るようになって早半年。


結婚後も、変わらず私は彼のアシスタントと妻を掛け持ちしている。


甲斐甲斐しくエイジさんの為に働く私を見て、雄二郎さんは「これで子供が出来れば良妻賢母になりそうなくらい、椎名くんは良い奥さんだな」と、この前、原稿を取りに来た時にそう言われた。


すかさずそこでエイジさんの


「もう椎名じゃなくて『新妻愛子』なんですから間違えないで下さーい!」


と、突っ込みが飛び、雄二郎さんやアシさん達が彼の前で私を呼ぶのに細心の注意をはらうようになったのは言うまでも無い…。





そんな変わらない生活の中にも幸せを感じながら二人仲睦まじく新婚生活を送っていたある日の事。


ついに、その日が訪れてしまった─────




──────────────




その日はエイジさんとの久々のお買い物デートが出来るとあって私は朝から浮かれていた。


いつもより早めに起床して、キッチンへ向かい、いつも通り熱したフライパンに卵とベーコンを落として焼き始めると、辺りにはジュージューと香ばしい香りが立ち込め…


美味しそうな香り……と、息を吸い込むと…瞬間、胸がむかつきを覚えた。


「ゔっΣV」


突然の吐き気に襲われ私はトイレへダッシュした。


しかし、吐瀉物は無く胃液だけが吐き出される。


「体調崩しちゃったのかな…それとも───」


私には予感があった。


最近、生理が遅れている。生理不順は今までにも何度かあったし、その度に妊娠検査薬で調べるも結果は陰性だった事から、今回も、さほど気にも留めていなかったのだけれど…。






こんな胸のむかつきは初めてだ。



これはひょっとしたら、ひょっとするかも……。


ただ確信は持てなかった為、エイジさんには黙っておこう、と私は一人、高鳴る心臓を必死で宥めながらキッチンへ戻った。


その後、襲い来るベーコンの匂いに耐えながら朝食をなんとか作り終え、遅く起きて来たエイジさんと二人で朝食を済ませた。


食欲の無い私を見てエイジさんは心配をしていたけれど、私は、大丈夫だよ、と微笑んで出掛ける支度へ取り掛かった。




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