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□amazing・・・
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「───え、今、何と仰いました?」


今日も新妻先生の夜食を作り終えて、アシスタント兼メシスタント業務を終えて帰り支度をしていると、傍まで歩み寄って来た新妻先生が私に信じられない言葉を投下してきた。



「ですから、僕、愛子さんの事が好きです」





やっぱり聞き間違いじゃなかったか…。




ビリビリ、ドクドクン…



脳天に衝撃。心臓が不整脈。何、この急展開。





今までだって何度か疑わしい事はあったけど、



自惚れだと自分に言い聞かせていた。





どうしよう、




私、初めて男の人に、好きって言われちゃったよ………




顔に熱を帯びる。ドクドクと鼓動が早くなる。




「愛子さんは僕の事、嫌いですか?」




……嫌いじゃない。


ふるふると私は首を横に振った。


新妻先生と一緒にいると毎日楽しいのは確か。


アシスタントを始めて半年以上、新妻先生の仕事に対しての熱意や執着、時々見せる真剣な顔付きにカッコいいとすら思った事もあった。


いつも私を気遣ってくれる新妻先生の優しさに何度助けられた事か。


仕事でミスしても、一度も責められた事は無い。


毎日、私の料理を美味しいと言って全て平らげてくれる。


少し体調が悪い時も、新妻先生はすぐに気付いて、心配してくれる。




今まで、こんなに男の人に気にかけて貰った事なんてあったか。



「…僕じゃ、ダメですか…」




新妻先生の手がそっと私の頬に触れる。



ビクン…ッ



初めて男の人に触れられて、過剰に反応する私の身体と心。


そっと頬を撫でる、その優しい手つきに、愛されている悦びを初めて知る。


「新妻、先───」


視界が暗くなり、すぐ近くに新妻先生の吐息を感じると同時に、





私は、新妻先生に、




ファーストキスを奪われた。



「…っん」



チュ、と離れる唇。




互いの熱い吐息がかかり、蒸気する頬。




「好きです…愛子さん」




こんな至近距離で見る新妻先生の唇は艶めいて、瞳はゆらゆら揺れていて、肌なんかすべすべで、





初めて男の人を、綺麗、と思った。



「僕の事、好きになって下さい、です…」



切なく微笑む新妻先生の笑顔が儚くて、



その後も、度重なる口付けに、




私は、抵抗出来ずにいた。




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