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□私と彼の新婚日誌
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出掛ける頃には私の胸のむかつきも嘘のように消え、私は余計な事は今は考えず、エイジさんとの久々のデートを楽しむ事に専念しようと決めた。


少し遠出をして私達は郊外にオープンしたばかりのショッピングモールへ訪れた。


電車に長時間揺られ、少し気分がすぐれなかったものの私はエイジさんに心配をかけてはいけない、と気持ち悪さを抑えて買い物を楽しんだ。


生活用品やらを買い込んで、少しお茶でもしませんか?、とエイジさんに言われ私達はモール内のカフェで休憩をとる事になった。


店内には淹れたてのコーヒーの香りとケーキの甘ったるい匂いが充満していて私は、あ、ヤバいかも…と口を押さえた。


向かいに座るエイジさんが私の異変に気付いて声を掛けてきた。


「…愛子?どうしたです?顔、真っ青ですけど」


何でも無いよ、と言おうとした瞬間、ググッと胃の方から込み上げてくるものを感じ私は急いでカフェ内のレストルームへ直行した。


後ろからエイジさんが、愛子!?、と私を追い掛けてくるも私はそんな彼を閉め出すようにレストルームの扉をバタンと閉めた。











────用を済ませ、レストルームから出ると、すぐ目の前にはエイジさんの心配そうにうろたえる姿があった。


「愛子どうしたです!?歩き過ぎて疲れちゃいましたか?もうすぐ帰りましょう」


オロオロと狼狽するエイジさんが何とも滑稽なのと、心配させて申し訳無かったのとが合わさり、私は仕方無い、と意を決して口を開いた。


「…心配かけて、ごめんなさい…今朝からちょっと…吐き気が酷くて…」


「そういえば今朝も食欲無かったですね…気付かなくてごめんなさいです…こんな事なら出掛けるの延期にして病院行けばよかったですね、今から病院行くです!」


パタパタと焦って店の外へ出ようとするエイジさんに私は、待って、と彼の腕をそっと掴んで引き止めた。


「…病気じゃない、と思うから、これ///」









───え?





エイジさんの大きな瞳が更に見開いている。


今までに何度と疑っては期待外れだった、この感覚。


だけど二人には、これで確信が持てていた。


「もしかして……赤ちゃん……です?///」


エイジさんの瞳が微かに揺れる。


私は小さく頷いて、まだわからないけど…もしかしたら…デキちゃったかも///、と告げた。


私の告白にエイジさんは身震いをして、こうしちゃいられません!、と私の手をゆっくり引っ張って、モール内のドラッグストアへ向かった。


「え、今調べるの?υ///」


「善は急げです」


ドラッグストアで妊娠検査薬を購入した後、半ばエイジさんに強引に急かされるようにして私は、その儘トイレへ向かい、調べてみる事にした。










結果が出るまでの、この張り詰めた緊張感、何度経験しても慣れないな、と思い、検査薬を見てみると──────








───予感は的中だった───











ドクドクドクドクドクドクン



はやる鼓動に全身が熱くなる。私は、震える手を洗った後、トイレを出た所の通路のベンチに腰掛けているエイジさんの元へ無言で歩み寄った。




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