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□ホームメード・ディッシュ
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翌日は久々の休日だった為、私は一週間ぶりの朝寝坊をして目覚めた頃には既に、11時を回っていた。


「あちゃー、もうこんな時間」


エイジのお昼用意しなきゃ…、私は買い置きのパンや惣菜をあさりながら、ふと昨日の佐藤さんの手作りクッキーを思い出した。


手作り…かぁ…。


正直、料理は苦手だった。私はいつもエイジに買ってきた出来合いの食料ばかりを与えていた事にその時、気付き、彼の彼女として以前に、女としてどうなんだろう…と悶々と考え込んでしまった。


…偶には、何か作るかな…。


それから私は缶ビールと、出来合いの惣菜しか入っていない冷蔵庫の扉を恨めしくバタンと閉めて近所のスーパーに食材を買いに急いだ。





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食材や味付けなど色々と悪戦苦闘しながら何とかエイジのランチが完成した。


食材と一緒に購入した可愛らしいお弁当箱には、焦げた厚焼き卵に小さな鮭、お弁当の定番、タコさんウィンナーに歪な形をした海苔巻きおむすび。彩りを添えるべく詰められたレタスとミニトマト。それにお弁当の強い味方のミートボール。


見てくれはお世辞にも良いとは言えないけれど、私は自分自身、感動していた。


私だってやりゃあできんじゃん♪


初めてエイジに食べて貰う私の手料理…。エイジの反応が楽しみで私は、浮かれ気分ですぐ隣の彼の部屋へ向かった。


玄関の扉を開き下足場に視線を落とすと見覚えのあるパンプスが一足、綺麗に揃えて置かれていた。


佐藤さんの靴だ…。


昨日の今日もあって私の胸が厭な音をたてて騒ぐ。





仕事部屋の扉を開いた瞬間、部屋には美味しそうな匂いが充満していて私の嗅覚を擽る。


目の前には、昨日のデジャヴか。


エイジの机の傍らには佐藤さんが立っていて、エイジの手には何かが持たれていた。


「あれ、愛子、今日お休みだったです?」


「あ、うん…」


…言葉が出ない。


見て下さい!佐藤さんがサンドイッチ作って持って来てくれたですっ!と、エイジが差し出してきたそれは、可愛らしいカゴのランチボックスに綺麗に詰め込まれたカツサンドだった。


私の見てくれ悪いお弁当とは大違いだ。しかもサンドイッチって、女の子らしいな…。


もしかしたら、私が仕事で居ない時も、毎日こうしてランチを届けに来ていたのだろうか。


「美味しそうだね…よ、よかったね…」


私は咄嗟に手に持っていたお弁当を後ろに隠した。


それにいち早く佐藤さんが気付き、あれ?もしかしてそれ、お弁当ですか?、と尋ねてくるではないか。




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