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□眠れない夜は
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───只今AM2:28
今夜も眠れない
夜更かしシンドロームが私を襲っていた。
それでもベッドに潜り目を閉じて眠ろうと努力するも虚しく、睡魔はやってこない。
目を閉じると浮かぶのは愛しい人の笑顔だけ…。
それが余計に私を眠れなくする。
解ってるよ。彼が今、超人気の連載漫画家だってことは。
連載を二本も抱えて大変なのも解ってる。忙しい人。
そういう人を愛したのだから仕方がない。
でも、会えない日が続くと不安になるよ。
私は、何度も携帯のディスプレイの中の『新妻エイジ』と記された番号をプッシュしようと試みる。寝てるかな…。それとも執筆中?
どちらにせよ電話をすると邪魔になるな…。
───窓の外は雨。
しとしとと降る雨音が、余計に今の心境を助長させる。
ヴヴ…ヴヴ…
携帯が震えメールが入ったのを知らせてくれる。
誰だろう、こんな時間に…
メールを開くと差出人は
愛しい彼の名前。
『…愛子、
まだ起きてるですか?
…眠れないです。』
「うわ///」
彼と心がシンクロしていたことに私は嬉しくて小さな感嘆の声を漏らしてしまった。
たった3行だけど
彼の私への想いがすべて詰まってる気がして…。
眠れない夜に聞きたいのは愛しい恋人の声なんだと。
私は先ほどまで躊躇っていた『新妻エイジ』の番号をプッシュした。
───窓の外は雨。
しとしとと降る雨音が彼の声と重なって
心地よい。
→あとがき