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□離しません
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「愛子さん、いい匂いです」


エイジの一日の仕事が終わりアシスタントさん達がいなくなる頃、私は彼のマンションを訪れる。


そして暫くはソファに座っている私に抱き付き離れないエイジ。ほんのり赤ら顔で私に擦りよるエイジはまるで子供みたいだね。誰も知らない、私だけのエイジ。


「…香水、きつかった?」


エイジは私の首もとに、すんすんと鼻をこすりつける。


「いえ、愛子さんの匂い、好きです」


「そう?よかった///エイジって匂いとか敏感そうだから」


「んー、確かに敏感かもです。特に愛子さんの匂い限定ですけど」


「そんなに気に入ってくれたなら毎日つけてくるよ、この香水」


私はバッグからコロンとした可愛らしい瓶の香水を取り出してエイジに見せた。


「香水…ですか。でも僕が好きなのは愛子さんの匂いです」


私はエイジの噛み合わない会話に、は?と間抜けな返答をしてしまった。


「確かにこの香水の香りもいいですけど僕はその香水とはまた別の愛子さんの匂いが好きなんです」


「えっやだそれって体臭!?私、臭う!?」


慌ててあたふたと腕や肩のあたりを匂う私にエイジは苦笑しながら話しかけてきた。


「そうではなくてυひょっとしたら愛子さんのフェロモンとかいうものかもしれないです」


…フェロモンって…////そんなの嗅ぎ分けられるなんて


「あなたは動物ですか」


「まあ人間も動物ですけど」


そりゃそうだ。なんて納得していると、またエイジがすんすんと鼻をこすりつけながら私にぎゅうっと抱き付いてきたので私もエイジの髪を優しく撫でながら抱き締め返した。


「愛子さんのフェロモンはくらくらするです。でもこのフェロモンは僕だけにしか放出して欲しくないです」


なんて可愛い事を言うのでしょうか。エイジは私の胸をキュンとさせるのが本当に上手。


「…心配しなくてもエイジにしか効果ないよ」


「そう願いたいです…例えどんな男達が愛子さんに言い寄ってこようと、僕はずっと愛子さんを





離しませんから────」




耳元で囁かれる不意打ちによって私は全身が色好く痺れる。


「ほら。また愛子さんのフェロモンが香り立ったです」




どうやらエイジは本当に私のフェロモンとやらを嗅ぎ分けられるらしい…。


ふとどちらからともなく顔と顔が近づけば自然に重なる二人の唇



それは熱く甘く馨しく



これから始まる二人だけの快楽の世界への引き金となる───────






(この香りも、愛子さんの事も、ずっとずっと離しません)






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