LONG

□また巡り会えたら#2
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それは僕たちが1年生の話。




学校にはだいぶ慣れてきて、友達も増えてきた季節。





その日はちょうどテスト週間で、やりたくもない勉強を夜1人でやっていた。


元々、勉強好きじゃないし、得意といった教科はあまりない。




(はぁ・・・嫌だな。

ミノたちはちゃんと勉強してんのかな?)




そんなことを考えながら、僕は寝てしまった。



















『ねぇ、』




・・・・・・

・・・



『ねぇってば』



ぅん?

何か呼ばれてる?







夢なのか、現実なのか、よく分からないまま僕は目を開けた。






「ん・・・?」




よく見えない。

目が悪いとかじゃなくて。



光で見えない。


目の前にいるのは、多分声からして女の人・・・?



その人が輝いてるの?




「何?あなたは誰ですか?」





まだ前はよく見えないまま。


でも彼女は、笑った気がした。






『好きよ。


あなたのことが好き』






ドキッと



確実に僕の胸はドキドキした。



こんなのは初めて。




すぅっと、彼女の影が立ち去って行く。




「待って!!」



手を伸ばしたけど、届かない。


顔も分からない。



声もあまり覚えてない。





何も分からない君に


僕は心を奪われた。






ただ、君の香りは覚えてる。



風が吹いたあの時。






君は僕に教えてくれた。
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