異世界少女と不器用男子

□希望の光は少しずつ
2ページ/4ページ


次の日、豪炎寺は鬼道、不動を連れて病院へと向かった
今日は休日。練習もない
本来なら不動を連れて行くべきではないのだが朝方豪炎寺の携帯に一通メールが来た
差出人は木葉だった

《今日は不動、鬼道を連れて行け。途中で合えるなら南雲もだ。良い事があるぞ☆》

との事だった
若干☆に悪意があるのは気のせいじゃないと思いたかった
幸い、不動と鬼道は用事がなく、晴矢も歩けるまでには回復していた

「木葉が?どうゆう事だ?」
「俺にも分からない」
「ま、行ってみればわかんじゃねえの?」

といった不動であったが内心不安で仕方がなかった
それは豪炎寺も鬼道も同じである


10分後、目的地である稲妻総合病院に到着した
最初に晴矢の病室へと向かった
扉を開けると晴矢はのんびりと携帯を弄って暇を潰していた
彼らが来たのが分かると携帯を仕舞い、二カット笑った

「よっ」
「なんだよ、随分元気そうじゃねぇか」
「おめーに言われたかねぇよ」

そう毒づきながらもお互い笑っていた
だが晴矢が真剣な顔をした瞬間、空気が張りつめた

「…あいつ、刺されただけじゃねぇだろ?」
「「「!!!!」」」
「…やっぱりな」
「何故それを…」
「俺の感がそういってんだよ。…で、行かないのか?飯食った後だから寝みいんだけど」

晴矢はあくびを噛み締めながら、ベッドを降りた
そのまま点滴が入った棒を掴んですたすたと行ってしまった

「…あいつ、本当はもう怪我治ってんじゃねぇか?」
「…俺もそう思った」
「……あぁ」

「おい!!早く来い!!」

少し遠くで晴矢の声がする
三人はクスリと笑い病室を出て行った

「俺に指図すんじゃねぇよ!!」





ついに、麗奈の病室へと着いた…というか着いてしまった
四人の空気はさっきと違いものすごく重い
痺れを切らした豪炎寺は三人に問いかけた

「……行くぞ」

その問いに三人は頷いた
豪炎寺はノックを三回して呼びかけた

「麗奈、俺だ。入るぞ」

そういうと

「はいよー入っちゃってー」

と、横から声がした
驚いてそっち側に顔を向けると、白のワンピースにブルーのカーデガンを着た女が立っていた



「「「「麗奈!!!!!???」」」」

「はいはい。正真正銘五嶋麗奈です。今回一日だけ復活しました
あ、あと晴矢復活おめでとう」

麗奈は前と同じ笑顔で言った

















豪炎寺たちが来る1時間前、剣城優一の病室前
麗奈は立っていた

「優一、入るよ」
「姉さん?どうぞ」

麗奈が入ると、そこには優一とその両親がいた

「あなたは確か…」
「五嶋麗奈です。いつも優一にお世話になってます」
「あぁ!!あの時の!!いえいえ、こちらこそ優一がお世話になってます。今日はどうかしたの?」

その問いに麗奈は少し俯き、そして顔を上げた

「…三人にお話があります。京介君は、今はどちらに?」
「今は病院に居る子達と遊んでいます」
「そうですか…なら手短にお話させていただきます。優一も良く聞いてて」
「あ、はい…」

麗奈の体は少し震え、泣きそうな顔をしていた
それを押し殺し、凛とした声で言葉を発した

「唐突ですが、私は此処の人間ではありません」
「「!!?」」
「あ、やっぱり」
「え!!?」

麗奈の言葉に父親と優一は驚いたが、母親だけはけろりとしていた
全員驚くと思っていた麗奈は逆に驚いてしまった

「な、なんで…」
「女の感っていうか…よくいる子達と少しだけ距離を置いてる感じがしたし…雰囲気とかも」
「そう…ですか」
「でも姉さん、どうしてそれを俺達に…」

「…そろそろ私はこの世界から消えると思ったから。…私が消えた後このことを話してない人たちは私は事故か何かで死んだ事になる…らしい」

ある人から聞いたんですけどね。と少し微笑しながら話を続けた

「だから頼みに来たんです。…この事は京介君には言わないでほしい。その代り私がいなくなった後京介君の支えになって欲しいんです。
…勝手だとは分かってます。でもっ、居なくなるよりはまだましだと思ったから…!!」

麗奈の言葉に三人は顔を見合わせ微笑んで頷いた

「解ったわ。京介には言わないでおく」
「あぁ、だから安心してなさい」
「困ったときは俺でよかったら相談に乗るからね」
「…ありがとう…ございます」

麗奈は涙を溜めながら頭を下げた
そしてそろそろ京介が戻ってくる頃だといわれたので自分の病室に戻った
ちなみに麗奈が本当は記憶喪失で、ここで入院していることは言わなかった
麗奈なりの優しさだ


そして病室前に着いた時、三人が迂闊しているのが見えたのだ
麗奈はクスリと笑った

「麗奈、俺だ。入るぞ」

豪炎寺がそういうのと同時に

「はいよー入っちゃってー」

そう、笑顔で言ったのだった
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ